新しい世界

知らぬ人に珍しいものを見せくれるという

それは少女の遺体であった

ミイラ化したそれは背を丸め小さくなって箱に押し込まれていた

そうですね、と答えて場を去ると

見知らぬ人に楽しいことをしませんかという

手には粉と注射器

すぐに分かって用事がありますので、と逃げる多様に去った

見知らぬ人が路肩で演説をしていた

世界を変えるのだそうだ

見知らぬ人が本を手に解いていた

心が楽になるそうだ

私は改札を出てホームにて並ぶ

今日とて変わらぬ毎日だ。私は死んだ目で並んでいた

そうしたら見知らぬ人が新しい世界を見せてくれるという

私は、へぇ、と反応してしまった

電車の音が聞こえる

見知らぬ人は力を込めて私を線路に押し出した

たしかに迫る電車の視界風景は新しい

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