2章 第8話

どうしたらいいのか悩んでいると、スマホが鳴った。

このややこしいところに…と思いつつも電話に出る。かけてきていたのはアスダさんだった。


「はい。イマダです」

『もしもしキョウくん⁉︎今どこにいる⁉︎』

「え…今家の前ですが…」


どうやら大変慌てているようだった。


『ホントかい⁉︎よく聞いて。今、職員寮のあるエリアにセルリアンが出現したという情報が入ったんだ。大きさは人の背丈くらい。駆除班が今向かってるけど、家の前にいるならすぐに家に入って!もしも見つかったりしたらソラちゃんとカワラバトを連れて今すぐ逃げて!」


アスダさんはそれだけ言うとすぐに電話を切ってしまった。

セルリアンって、あのセルリアン?

とりあえず家の鍵を取り出そうとしたときだった。


「なにあれ…」


並ぶ建物の影から、青色のスライムみたいな存在が姿を見せた。あれが…セルリアン…⁉︎


「とにかく2人とも今すぐ逃げろ‼︎」


私はソラとカワラバトの手を引いて走り出した。が、声を出したのがマズかった…


セルリアンはこちらの存在に気付き、無機質な目をこちらに向けたかと思うと、地面を震わせながら追いかけてきた。


くっ…ずっと走り続けるのはやっぱり辛い…今ではすでにソラに引っ張ってもらってやっと逃げ続けてる状態だ…この状況はマズイ…


セルリアンが身体を変形させ、牙の生えた腕を伸ばしてくる。ああ、私の人生ここで終わるんだな…

私は死を覚悟した。


「ご主人さま危ない‼︎」


ソラはとっさに私の手を引いた。引かれた勢いそのままに、私はソラの後ろに転がり、前後の位置関係が逆転する。

セルリアンの腕はそのまま勢いを落とすことなく伸び…





ソラを飲み込んだ。

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