第7話
気づいたら朝だった。どうやら完全に寝てたみたいだ。
ソラは部屋の床で丸くなって寝ていた。申し訳ないことをした。でも、明日からどうやって寝ようか…まさかこんなことになるとは思わなかったから部屋もシングルだし犬用ケージしかないし…ホテルのスタッフに言ったら部屋変われるかな…
そんなことを考えながら、ソラを起こした。
それでは、ガイドブックを買いに行こう。
勝手にどこかに行かないようソラに念を押して、私達は部屋を出た。
ホテルから本屋まで、ほんの数分で到着した。パークセントラル最大の本屋と謳うだけあってかなり大きい。
看板にはカラフルに彩られた「JAPARI BOOKS」の文字が書かれている。
店内に入るなり、「ジャパリパーク、アニマルガール関連書籍‼︎」と銘打たれたコーナーが目に飛び込んで来た。
気になったので、少し見てみることにする。
「なにこれー?」
「これは本っていって、中にいろんなことが書いてあるんだよ」
「この変な模様は?」
文字を知らないのか?こんだけ流暢に喋れるのに?
残念ながら私は文字の概念を説明できるほど賢くない。また今度調べて教えてやろう。
さまざまなタイトルの本が棚に並ぶ。
「絵でわかるジャパリパーク」「できる!けもリンク」「走れルター」「注文の多いジャパリカフェ」……
その中で、ラノベがかなり多いことに気づく。こんなところでわざわざライトノベルを書くのはどんな人なのかが気になって、一冊手に取った。
「けものな彼女」というタイトルの下には、「コシベニペリカン イラスト:ターパン」と書かれていた。
なんと作者までアニマルガールだとは…あれ?だとすると字が書けるのか?どこかに教育が受けられる施設があるのか…?奥が深い。
「今日は待ちに待ったコシベニペリカン先生の最新刊の発売日ですわ!行きますわよ!ヘルベンダー!」
「オゥ、クロサイ、ベリーファストでーす…もうちょっとスローリーに行きましょう…」
私が色々と考えている間に、黒い甲冑を着込んだアニマルガールと、巻き毛で褐色の服を着たアニマルガールがラノベを1冊ずつ手に取り、レジへと向かっていった。
読者いるんだ…しかもかなり熱心そうな…
はっ、趣旨がずれてた。
まずはガイドブックだ。
ジャパリパーク関連書籍コーナーにガイドブックはありそうなもんだが…あった。
棚にはいくつかの出発社のガイドブックがあったが、KAD●KAWAなどの大手出版社のは隅に追いやられ、代わりにジャパリ・パブリッシングという会社のガイドブックが台の上に平積みされていた。名前から察するにパーク関連企業だろう。まあ、関連企業の出してるやつの方が、情報が充実してるだろうし、正確性も高いだろう。
ジャパリ・パブリッシング社製のものを手に取る。
あとはまあ、パークの制度とか、アニマルガールについての説明がされた本でもあれば、これからソラと過ごす上でベストなんだが…
そう思い、あたりの棚を見渡す。ふと、ある一冊が目に留まる。
「人型特殊動物特別法から読み解くアニマルガールの全て〜フレンズとは何者なのか〜」
その新書サイズの本には、そんなタイトルが記されていた。
人型特殊動物特別法…たしか私がまだ子供の頃、アニマルガールの存在が確認され始めた。それに伴って、彼女たちの扱いをどうするかが国会やその他さまざまな場所で議論されたらしい。その結果、定められたのがこの法律だと聞いている。内容はほとんど知らないが、確か「アニマルガールに対しても人権が認められる」というのが第1条の内容だったかな?そこは学校で少し習った気がする。
まさに探している本にぴったりじゃないか。パークに住むにしろ住まないにしろ知ってて損はないだろう。
私はガイドとその本を持ち、レジに向かった。
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