第2話 もしくは報・連・相
「ご主人さまご主人さま!今日はどこ行くの?」
フロントでもらったパークの略地図を見ながら歩く私にソラがきく。
「えーっと、パーク管理センターっていうとこだけど…こっちだな」
珍しくて目立つかと思ったが、他にもそういうアニマルガール…だっけか?が居すぎて逆に目立たなかった。その辺を歩いてたり、買い物してたり、談笑していたりしていた。自由だな。
「わかった!ご主人さまについてくね!」
その呼び方はどうにかならないの?そっちの方が目立って恥ずかしい…
そんなことを思っている間に、パーク管理センターに到着した。
案内板を見ながら、どこに相談したらいいのかを考える。
運営課?管理課?総務課?お客様相談窓口?
案内板を上から下まで見回して、1番合ってそうなところを探す。その時、7階のところで目が止まった。
アニマルガール相談課。
これだ。これに違いない。そう思い、エレベーターで7階まで上がる。ソラは、初めて見るエレベーターが珍しそうだった。
チン…という軽い音を立ててエレベーターの扉が開く。
役所にありがちな無機質な廊下。ところどころに貼られているポスターには、どれもアニマルガールが写っていた。
2分ほど廊下を歩き、私とソラはアニマルガール相談課に到着した。
アニマルガール相談課は、私の他にも数人の人がいた。窓口が全て埋まっていたので、しばし待つことにする。その間、ソラは辺りのものを珍しそうに眺めていた。
5分ほどで窓口が空いた。
私は窓口に座り、事の顛末を話す。
「えー、ご相談内容は『ペットのアニマルガール化』でよろしいですか?」
「えっと…たぶんそうです」
私はあっさりその話が受け入れられたことに驚いた。
「こういう事ってよくあるんですか?」
「そこまで多くはないですけど、時々はありますよ。今までに約10件ほど確認されていますね。このような件において重要なのは、アニマルガール化した後の身の振り方ですね」
「というのは…」
「元の動物の姿に戻すか、そのままでいるか、パークに残るか、お家にお戻りになられるか、ということです。具体的にどういう選択肢があるかと言いますと…」
ここからはかなり大事な事を言いそうだったので、私はメモをとらせてもらった。
「元の姿に戻ることを望まれる場合、今すぐパークを出ていただいて、体内のサンドスターが切れるのを待つのが1つ。あ、サンドスターというのは、動物をアニマルガールに変え、アニマルガールのエネルギー源になる物質のことです。これが切れると、アニマルガールは元の動物に戻ると言われています」
そんなものがパークにはあるのか。すごいな。
「そして次に、今の姿のままにとどめておく場合。今までのお客様がとられた手段として、パークに移住する、定期的にサンドスターをパークから送ってもらい、お宅に戻られてもその姿を維持する、アニマルガール化したペットをパークに譲る、などがあります」
最後のは…無いな。ソラは私にとても懐いている。離れ離れになるのはかわいそうだ。
「あの…今すぐに元の姿に戻す方法ってないんですか?自然にサンドスターが切れるのを待つしかないんですか?」
「えーっとですね…ないことはないんですが…かなり危険な方法なので、あまりおすすめはしないですね」
じゃあその選択肢もなくなるな…
私1人で結論を出すのは良くないだろう。私はソラの意見も聞くことにした。
「なあソラ、ソラは元の姿に戻りたいか?それともこのままがいいか?」
「ご主人さまと一緒ならどっちでもいい!」
即答だった。
「でも…ご主人さまと一緒にしゃべったりできるから、このままがいいかな!」
うれしい事を言ってくれるじゃないか。その意思を尊重しよう。
「えっと…じゃあ、今の姿を保つ方針の方法について、もうちょっと詳しく教えてもらえますか?」
「はい、大丈夫ですよ。まず、パークに移住される場合。所定の手続きを踏んでいただければ、戸籍等をパークに移すことができます。また、パークでは「アニマルガール1人に飼育員1人」という方針で運営しているので、ソラさんにも飼育員がつくことになります。もちろん自由に会っていただくことは可能ですが、24時間ずっと一緒にいる、といったことは難しいかと思います」
それを聞いたソラの顔が若干曇ったのを私は見逃さなかった。
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