私とソラのジャパリパーク滞在記

かわらば

First seven days

第1話 もしくは全ての始まり

目を覚ますと、目の前には1人の女の子が立っていた。


「あ、起きた?」


その子は元気な声でそう言った。

結構かわいい子だなー、とか思いながら、寝ぼけた頭でその子を見る。ベージュを基調とした服装と髪色。ところどころに白が入っている。肩から胴体にかけて着けているバンド?が目立つ。それと…ピンと立った犬耳…えっ犬耳⁉︎

その衝撃で一気に目が覚めた。同時にいろんな疑問が頭に押し寄せる。


「えっ、誰⁉︎ていうかどっから入ってきた⁉︎」

「わたしはずっとご主人さまと一緒にいたよ?」


私は誰とも主従関係を結んだ覚えはない!

そして、犬耳のことについて聞こうして気付いた。目が覚めてから、あいつの姿を見ていない。ふと、ある予感が頭をよぎった。


「おまえ…もしかして…」

「うん!わたしはソラ!いつもご主人さまと一緒にいたのに…忘れちゃった?」

「ええええええええっ‼︎‼︎」


予感は的中した。

「ソラ」は私の飼い犬の名前だ。柴犬だった。おそらく、彼女は「元」私の飼い犬だ。何を言ってるか分からないと思うが自分でも分からないのだから仕方ない。

混乱した頭を落ち着かせるため、1度状況を整理しよう。


まず私は昨日の夜、飼い犬のソラを連れて、ここ、超巨大動物園ジャパリパークに着いた。理由は2週間の休暇が取れたからだ。そして、着いたのが夜の9時ごろだったので、どこも観光せずにホテルに泊まった。で、起きたらソラが女の子になってた…と。

ジャパリパークは女の子の姿になっちゃった動物がたくさんいる所だとは聞いていたが、まさか客のペットまでそうなるとは…おそるべし。


で、どうしたものだろうか。とりあえずパークの人に相談するか…

私は最小限の荷物をまとめ、部屋を出る準備をした。


「あ、おそといくの?わたしもいくー!」


ソラを連れて行かないことには話にならないだろう。私が部屋を出ようとすると、


「あれ?ひもはいらないの?」


ああ、いつも散歩の時はリードつけてたからな…でも、こんな女の子の首に紐つけて歩いてたら一発で警察に通報されるだろ!


「えーと…今日は紐はつけないけど、私に絶対ついてきてね。でないと迷子になっちゃうから」

「わかった!」


おお、言葉が通じる。これはこれで便利…かも?

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