第15話 セルリアンを探して
パワードスーツの一行は、快適な速度で密林を抜けた。倍力装置のおかげか、実重量が100kg以上あるにもかかわらず、疲れてはいない。
「ナマケグマさん、こんな闇雲に探していて、見つかるんですかい?」
ハヤマがぼやく。
本来、セルリアンは増加していると予測されていたから、もっと簡単に見つかると思ってのガバガバな計画だったのか。
「現在、衛星のバックアップを受けて探索中ですよ。目的地も一応ありますし。男性隊員は置いてきたから、探索隊は我々3人だけですけどね」
「このぶんだと、セルリアンよりフレンズに先に見つかりそうですね」
ミコトはのどかな風景に、欠伸を噛みしめる。
「大丈夫、このパワードスーツの集音器は優秀です。フレンズが500m以内に近づけばわかりますよ」
ヤマザキ、いや、ナマケグマは胸を張る。身体に似合う豊かな双丘は、少し羨ましい。
どかっ!
突然、打撃音とともにハヤマが前のめりに倒れた。
「うぎゃー!」
後頭部を抑えて転げ回るハヤマ=オオミミギツネに、ナマケグマが駆け寄ると同時に周囲を警戒する。
「誰なのです」
「名を名乗るのです」
ミコト=スナドリネコの目の前に降り立った2人は、口々に誰何した。
音もなく飛ぶフレンズ。フクロウだろうか。
「わ、私はスナドリネコ!貴方達は?」
フレンズに見つかった時のマニュアル通りに、ミコトは応えた。
「わたしは博士なのです」
「助手なのですよ」
「変な臭いのフレンズが近づいていると、ハンターから連絡があったのです」
「ほんとかに変な臭いなのです。まるで…バスのようなのです」
「わ、私たち、セルリアンを探してて」
「弱っちそうなあなた方が、セルリアンをですか?」
見た目だけなら大柄な体型になっている3人だが、このフレンズたちには弱く見えているのだろうか。
「アホなのですよ、博士」
「アホなのです、助手」
「身の程知らずは長生きできないのです」
「セルリアンはいないのか?」
オオミミギツネが尋ねる。
「最近ではあまり見なくなったのです」
「ししん、の影響でしょうか、博士」
「かばんのおかげかもしれないのですよ、助手」
かばん?なんのことだ。
「とにかく、もしセルリアンを見かけたら、すぐに逃げてハンターに連絡するのです」
「まあ、ヒグマにはりょうり番をしてもらっているので、リカオンにでも頼むのです」
「変なフレンズだったのです」
「我々、こんなのに構っている暇はないのですよ助手、じゅるり」
「さっさと帰りましょう博士、じゅるり」
2人のフレンズは、あっという間に飛び去ってしまった。
「やっぱり先に見つかりましたね、ナマケグマさん」
「最新技術のセンサーが…」
ナマケグマは、がっくりとうなだれた。
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