013: 2018/04/07 「うそつき!」

「すまないな、手伝ってもらって」

「いえいえ。私もお買い物したかったから」


ショッピングモールから出てきたはつ百合ゆりは、並んで荷物をげて歩く。

だんは時間が合わず、せっかくいつしよになったのだから、と昔話にも花をかせる。


その中で、おたがいの高校生のころの話になった。

百合は中学生の頃から、つい男子をってきたというが、一方の初恵は苦笑いしながら。


「――ああ、そういえば告白してきたのは、全員女子だったな」

「あらあら……」


お互いが女性と分かっているだけに、百合は目を丸くする。


「レズビアンだと聞かされてて『うそつき!』って泣かれたこともあったな。なだめるのに、どうしたかな」

「どんな風にしたの?」


初恵がいつたんみちばたに荷物を置かせ、かべとの間にはさむ形で壁に片手をつき。


「こう、だったかな」


もう片方で、百合のあごに手を当てて、少し上げた。


「……!」


数秒のちんもくののち、ぼっ、とお互いに赤面した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る