8日目

3月25日


今日は大家さんに家賃を支払う日です。多くのアパート、マンションでは引き落としの世の中ですがこのシェアハウスでは大家さんに直接支払いに行きます。


大家さんは隣の家に住んでいます。インターホンを鳴らし大家さんを呼びます。

「こんにちは、ハルちゃん。今月分の支払いね?」


「はい。これでお願いします」

私は家賃が入った封筒を大家さんに渡します。


「学業で忙しいだろうに毎月遅れずに支払いできて偉いわね。全部自分でやってるんでしょう?」


「はい」


「あの大きい家に1人で寂しくないの?」


「はい。一緒に住んでくれる方がいるので寂しくはありません」


大家さんは目を丸くして私に聞く。


「あら、契約はハルちゃん1人だったけど友達といるのね。あら、問題はないのよ、家賃もちゃんと毎月いただいてるからね」


大家さんの家の電話が鳴る。


「あら、電話が来たみたい。今月分はしっかり受けとりましたよ、ありがとう」

そう言って家の中に入ってしまった。


 そして、私は不思議なシェアハウスーーーー受験に失敗して厳しい両親の元から逃げるため夜の世界に入ってしまいその過酷さに命を投げ出してしまった時雨ちゃん、ミュージシャンになる夢を追っていたものの普段の生活が精いっぱいでどうしようもできずに亡くなってしまった根岸さん、両親からの虐待で小学生ながら命を落としてしまったはじめちゃん、幽霊になっても頑張っている3人と共に生活している家へと帰りました。

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不思議なシェアハウス 杉崎有希 @yukiazuki

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