第24話;ミミリィとレレミィ-1(フレデリック・ジャクリンの災難)
フレデリック・ジャクリン子爵家3男は、思い足取りで中央協会の門をくぐる。
「はぁ~あれは侯爵家、伯爵家の方・・・そうだよな司教になる方たちもそれなりの家柄だよな・・・」
華美にならないほどの豪華な司教装束の王都各地域の司教達
自分は、ちょっと小奇麗にした借り物司祭服
「はぁ~」
『フリン、可愛いよ!自信持って』
「カリン?(光の精霊、フレデリックが名前を付けた)・・・気おくれしかないよ!」
『頑張れ~』
足取り重く、教会の司祭席、末席と思っていたら思っていたより上座で直、気おくれしているフレデリック・ジャクリンだった。
よぼよぼの司祭は思ったより高位の司祭だったことに初めて気付くフレデリックだった。
(緊張するな・・・しかし凄い面々だなぁ・・・名だたる貴族が勢ぞろいだ!王様は父親だから当たり前か・・・そう言えばまだ結婚していない王女がまだ居たような・・・)
会場を眺めると、王と王妃の横に同じ顔をした双子の王女の姿が見えた。
(たしか僕より少し年上だったかな?・・・ん?王女達がこっちを見てる?いや・・・僕を見てる?まさか)
ぞくっと背筋が凍る気がしたフレデリックだった。
滞りなく結婚式が終わると、何か恐怖を感じてフレデリックは一目散に教会を出ようと走ってはいけない教会の廊下を全速力で走った・・・が横の扉がいきなり開くと風が舞いフレデリックを部屋の中に引きこんだ
床に転がるフレデリック、咄嗟に防御魔法を展開して怪我は無かった。
『ミミリィ、彼の魔法、中級魔法だけど面白いわね、綺麗な魔法の色』
『レレミィお姉さま、間違いありませんわ!探していた方に』
「何なんですか?あっあなた方は!王女殿下!?何故!?」
「あなた!私たちの者、なる!」
「あなた!私たちの者、なる!」
「は?何を言ってる!」
「私ミミリィ」
「私レレミィ」
「「私、貴方の子供産む!」」
「・・・????はぁ?・・・何を言ってるんですか!?」
フレデリック床に転がったまま真っ赤になって目を剥いた
二人が迫ってくる、恐怖に赤から青に変わる顔色
『『探していた方が、不細工でなくて良かったですわ、中々にハンサムで!』』
「不細工って・・・いやです!近寄らないでください!」
「!あれ?」
「うわー!!」
急いで起き上がると部屋から一目散に出て行った
『『あ!私達の旦那様!』』
『旦那様じゃナーい!』
「「!!!」」
フレデリックは返答しながら廊下を駆け抜けて行った。
『油断しましたわ!逃げられました。』
『大丈夫よ、司祭みたいだから、あの若さの司祭なんて、すぐ見つけられるわ』
『そうねお姉さま』
『それよりも、精霊言語話してたわね』
『ええ、ますます私たちの旦那様になって貰わなきゃ・・・』
二人は妖しく微笑む
「ミミリィ?レレミィ?こんな所に居たの?」
「お母様! 見つけた! 子供産む人!」
「?よく分からないわ、精霊語でいいわよ」
『お母様見つけたの!私たちの旦那様に相応しい人!二人であの方の子供産みます!』
『ちょっとお待ちなさい!二人でって相手はその言い方だと一人なのよね?二人でって』
『もう決めました』
『・・・ミミリィ・レレミィ?相手の方は?承諾貰ったの?』
『逃げられました』
『・・・ミミリィ・レレミィ・・・ちゃんと承諾貰わないと認めませんよ、”既成事実作っても”教会に幽閉しますからね!その辺よく考えなさい』
『お母様、解りましたわ絶対承諾してもらいます』
「母!彼!承諾貰う!力ずくで!」
「!っ違うでしょう!」
頭をかかえるロゼッタ
「本当に母国語はダメよね・・・精霊語は流暢なのに・・・」
「彼・精霊語・解る!うれしい」
「!本当に?それは貴重な存在ね」
二人はニコッと笑った
「力づくは辞めなさいね」
ため息をつくロゼッタだった。
ミミリィ・レレミィは母国語がいまいちしゃべれない。
赤ちゃんの頃はおとなしく手がかからなかった為、かまって貰えなかった為である。
王家は子育ては乳母と侍女がする、大勢の大人が係わるはずが、放置されてしまった。
その代わり、精霊が常に周りに居た、精霊は精霊語で二人の子守をした、その為母国語は不自由、精霊語は流暢になってしまったのである。
言葉が通じない為、物心つく頃になると、二人は行動で表現するようになった、それがいたずらだったり意地悪に思えた従者や侍女達は、おかしな子供と認識してしまった。
そうなると二人はそれに答えるように、いたずらをエスカレート、ますます遠巻きにされるようになり、二十歳過ぎても縁談がこなかった。
そんな二人を無条件に抱きしめてくれたのは、もちろん母のロゼッタと姉のマルガリータ、兄のエミリオ、
ロゼッタとエミリオは精霊語が話せるし、マルガリータは無条件に妹を愛していた。
『レレミィお姉さま、マルガリータお姉さま綺麗でしたわ~良いなぁ』
『そうね、幸せそうでだったわ、一時期命を絶たれるのではと怖かったけど、本当に良かった』
『直ぐ子供も出来るそうよ、精霊たちも喜んでる』
『独占欲強そうな旦那様だったからね』
二人はマルガリータの幸せを、自分のことのように喜んで手を取り合って笑っていた。
『さて、何処から外堀埋めていきましょうか?』
『レレミィお姉さま、それはもちろんお父様と宰相(兄)、国家最高権力者からですわ』
やさしい笑いから策士の笑いへと変わった二人だった。
フレデリックは北の教会に戻ると、司教に報告をしていた。
「どうしたのじゃ?フレデリック顔色が悪いぞ」
「は~・・・双子の皇女殿下に迫られました。怖かったです!」
「ほえ?迫られた?あの双子にか?」
「どういった方々ですか?司教がまだ中央に居た頃、遊んでやったとおっしゃってましたよね、
自由奔放で我が儘で悪戯好きで、皆が手を焼いている噂しかありませんが」
「ま、見た目は噂道理じゃな、色恋にはてんで興味無さそうじゃった、そういえば魔力の色が見えると言っておったな、金色と銀色の魔力の者が自分らの伴侶だって信じとった、わしらは魔力の色なんぞ見えんからな、何を言ってるんだと相手にしておらなんだが、そうか、もしかしたらおぬしの変わった力、金色・銀色の魔力、ありえるかもな」
「・・・・私も見えます」
「?何が?」
「魔力の色・・・」
「ほうっ・・・」
「司教は、青白いさわやかな色です、今日行った結婚式で見た中で変わった色は、王妃の虹色、侯爵でしょうか?黒と紫で気持ち悪い人も居ました。」
「ちなみに双子は?」
「・・・・それぞれが、金色と銀色でした」
「そうか・・・自分のは見えるのか?」
「金色と銀色のマーブル・・・」
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