快晴のメロディー
三咲 幸
1.始まり
第1話
突然のことだった。
両親が、旅行先で事故に巻き込まれて亡くなった。私が15の時だった。
面識があった、唯一の親戚である母方の祖父母は、既に亡くなっており、身寄りは無かった。
この先、どうなるのだろうか。
そんなことばかり考えていた。
自分でも驚いたことは、両親が亡くなったという事実をすんなりと受け入れられたことだ。自分で自分が怖いと思った。
しかし、受け入れたからといっても、この先どうすればいいのか分からなかった。
そんな私の元に、父方の祖父だと言う老人がやって来た。
話を聞けば、父は母と結婚するために、実の親と縁を切ったらしい。それでも、どこからか自分の息子が亡くなったことを聞きつけて、取り残された私を心配して、迎えに来てくれたらしい。
そこからはあっという間だった。
気づいたら葬儀は終わっていて、私の進学先まで決まっていた。
祖父は高校を経営しているらしい。だから私は、中学を卒業したら県外に引っ越して、その高校に通うらしい。
特別仲の良い友達がいた訳ではなかった私は、それを受け入れた。
時は流れ、春が来た。
祖父の家はとても広く、未だに慣れない。
"おじいちゃんの家"ではなく"居候先" "他人の家"という感じが強い。
それでも、ここ以外に行く場所はないので、感謝して住まわせてもらっている。
高校にも入学できた。
友達はいないけれど、平和で静かな日々だ。
しかし、祖父はそんな私を心配したのか、とある1つの教室の鍵をくれた。
第2音楽準備室
そこが私の居場所。
そこで、元々好きだった音楽に打ち込んだ。
中学の頃からやっていた、自作の曲の投稿も再開した。
ギターの音色に乗る、ガタガタとした雑音は相変わらずだ。
今日もそこで、私はギターをかき鳴らす。
今日もそこで、私は下手すぎる歌を歌う。
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