第4話~親友との再会~
入学式も一通り終わりに近づき、アナウンスが体育館に響きだす。「祝辞・在校生代表・青山健二君」
どこかで聞いた名前だと思い、緊張しながら、ぎこちなく祭壇に上がる生徒の姿を見て思い出した。ケンちゃんだ。忘れもしない、二人で秘密基地を作って一緒に花火やスイカを食べていた、あのケンちゃんだった。
「し、新入生の皆様っと言っても二人だけですが、今日は晴天に恵まれえーっと…」顔を赤くして緊張の余りカンペを持っていることも忘れて動揺していると町民の皆がはやし立てる。
「と、とにかく、いらっしゃい!」場内は一瞬シーンと静まり帰った後、どっと笑いに包まれた。ケンちゃんは照れた表情を隠すようにそそくさと祭壇を降りて自分の席に着いた。奈緒子は無邪気に笑って僕の肩を叩いていた。
担任の先生は五十嵐先生で中学1年生と2年生を掛け持ちの担任だった。五十嵐先生の紹介を一通り終えた後、改めて僕達、新一年生の自己紹介をした。
ケンちゃんは僕をどこかで見たことがあるような顔でジッと見ていた。それに気付いた奈緒子は「ケンちゃん!豊だよ!夏に遊びに来てた豊!」と言うと、急に席から立上がり僕に近づいてきた。
「豊じゃないか!」ケンちゃんは嬉しそうに僕の髪の毛をぐしゃぐしゃにしながら頭を撫でてニコニコしていた。僕も嫌じゃなかった。都会と違ってここではお互いが遠慮しない。
言い方が悪いかもしれないが、誰もが平等であり、影で誰かの悪口言うような人は誰も居ない。文句があるならその場で言う。それはケンちゃんが昔、僕に教えてくれたことだった。僕一人の為にここまで喜んでくれるケンちゃんを見て嬉しかった。「ただいまケンちゃん。」これが親友との出会いである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます