めおと無双―結婚指輪が最凶の黒魔導アイテムでした―

アーモンド

末長く 爆ぜろ夫婦の 黒魔術

――――純白のドレスに身を包んだ新婦が、涙を流す父親に連れられて歩んで来る。

俺はそれを牧師のすぐ目の前で待ちながら、白いスーツのえりを少しだけ直した。


そうして俺の左に並んだ新婦。

俺は掛けられたヴェールを取り、彼女にそっと口づけした。

じわりと頬を染め、少し幼げに見える彼女は嬉しそうに微笑む。


『それでわ、結婚指輪を交換してクダサイ』


カタコトで言う牧師。

お互い揃えて買った、世界で一組の指輪。

裏に名前の刻まれたそれを、俺と彼女は互いの左手の薬指にはめた。


――――力がどこからかみなぎる。


指輪が煌々と、青黒く光っていた。

それは紛う事なく、黒魔法の類だった。

俺と彼女はこの瞬間から、黒魔術師としての力を覚醒させてしまったのだった。




そして物語は、そこから1ヶ月後になる。

とある田舎村に、仲の良い夫婦がいた……。

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