番外編:『満洲良男』の国内部数

『満洲良男』。かつて満洲で発行されていた幻の日本語雑誌。

 現存し、かつ公共施設に所蔵されているものには以前触れました(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885469885/episodes/1177354054885533926 )が、今回は当時日本で出回っていたであろう部数について。


 これについてヒントを得たのは、町田市の『満洲良男』138号を閲覧した時です。その際に伺ったところ、この号は著者献本分が寄贈されたとのこと。

 つまり、「『満洲良男』各号は、少なくとも戦前の日本国内に数十部は存在していた」ことになります。号によっては日本国内で一部たりとも流通しなかったのでは……と若干悲観してもいたのですが、幸いこの予想は外れたようです。


 ……ただし、です。ここで、執筆陣の人数から「当時2,30部は固い」となればいいのですが、話はそう単純ではありません。


 たとえば太宰治の場合。『満洲良男』寄稿時、原稿を直接満洲に郵送したものの献本は送られて来なかったとのこと。『満洲良男』に掲載されたのは確かなので、不着か郵送されなかったかと言うことになります。戦況の悪化に伴い、郵便情勢が……との可能性も捨てきれません。

 ※該当論文を失念してしまったので、こちらの出典は後日、改めて。


 諸々を総合すると、「見つかっていない『満洲良男』各号は、日本国内に現存していても不思議ではない」と言う位の話になりましょうか。

 個人的な目的である140号についても、私蔵されている可能性はある……と、願望混じりながら信じたいところではあります。


 ……せめて目次だけでも判明すれば、か細い手がかりとは言え故人の蔵書を辿る等できるはずなのですが……。

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