失われた探偵小説を求めて

祭谷 一斗

第1話 大阪圭吉の未確認短編を求めて。

 たびたびTwitter(@maturiya_itto)で聞いたり聞かれたりするようになったので、記録や進行状況を一箇所にまとめておくことにしました。


   ・


 戦前の探偵小説作家・大阪圭吉については、既に先人の研究が公表されています(http://www3.wind.ne.jp/kobashin/oosaka/index.html?#top )。

 なので、当方が行うのはかなりシンプル。


・公開資料をつき合わせ、行方不明/確認不能な小説を追う。


 ――です。場合によってはいろいろな場所に行くかも(……と言うか、そうなりそう)。

 それはさておき、書誌、


 「ミステリ珍本全集04『死の快走船』を読むための大阪圭吉作品書誌(2014年7月5日更新)」 http://www3.wind.ne.jp/kobashin/oosaka/chinzen_syosi1.pdf


 を読むと、現在(註:2018年4月4日現在)のところ未見/未確認となっているのは以下です。



1938年 『情死』  ※雑誌『近代生活』(百貨サービス社)掲載、2月頃。

  43年 『村でたった一枚の結婚服』

       ※雑誌『満洲良男』(満洲雑誌社)掲載、恐らく140号本誌。

      『主なき貯金』  ※掲載誌不明、大政翼賛会依頼分、7月頃。

      『山は微笑む』  ※雑誌『読切講談』(読切講談社)掲載、9月頃。


1943年 (タイトル不詳) ※謎の長編原稿。甲賀三郎に託したとされる。



   ・戦地慰問雑誌『戦線文庫』(興亜日本社)掲載分

     ※『戦線文庫』には「銃後讀物」と題された内地版があり、

       同時期のものへの掲載可能性が残されている。


1942年 『ハワイ軍港掃海奇談』 41号?( 3月前後)



   ・雑誌『にっぽん』(名古屋新聞社)掲載分


1941年 『屋形船異変』    7月号

      『五人の手古舞娘』  9月号

      『千社札奇聞』   10月号

      『花盗人』     11月号

      『丸を書く女』   12月号

 42年  『マニラの混血娘』  4月号前後

      『動く珊瑚礁』    6月号前後

      『東印度の娘』    7月号前後

      『五つの船渠』    8月号前後



 次回からは、このリストで探しているものと見つかったもの、および公刊資料に依拠した探すべきルートの推理を記していきます。



3月29日訂正:

リスト上、発見済みとなっていた作品を掲載していたため修正しました。

ご指摘頂きありがとうございました。


3月30日更新:

発表月を付しました。


4月24日追記:

中日新聞社に問い合わせたところ、

『にっぽん』は所蔵されていないとのことです。

お探し頂き、ありがとうございました。


5月5日追記:

捜索状況を更新しました。


10月8日追記;

捜索状況を更新しました。未発見だった『門出の靴』は、11月刊の盛林堂さんの新刊に収録されるとのことです。


10月23日追記:

11月刊の盛林堂さんの新刊にて、エッセイ『鱒を釣る探偵』の再録も決定しました。

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