失われた記憶
ガルガード
欠片
固定視点なし
※クロウウェン視点多め
雅僞杜(あぎと)「怜皇(れお)!」
怜皇(れお)「分かってる!!」
国が人間と同じ姿を持つ侵略者達によって崩壊を始める中………10人の特別な力を持つ者達は侵略者達によって奪われていく魂を救助していた
澪斗(れいと)「くっそ 量が多すぎる!」
友希(ゆき)「でも助けないと!!」
琥神(らいが)「早くしないとまた来るぞ」
特別な力を持つ者達は侵略者達が奪った魂を救助することから命を狙われており、量が多かろうが少なかろうが関係なく時間勝負
???「………そのままじゃ間に合わねぇぞ」
慎毅(じんぎ)「!?」
不意に聞こえた声に慎毅以外にもその場にいた全員が驚く
???「どっ………せい!!!」
友希「?!」
???「時間を止めた 3分間だけだから早くしてくれ」
突然現れた青年が力を使ったのか何かで時間が止まり全員で急いで魂を救助
???「くっ………」
しかし余りにも量が多くてすぐに3分経ってしまい時間がまた動き出す
??? 少し無理をしなきゃならないな………
???「1分」
怜皇「え?」
???「1分後にまた時間を止める だからそれまではお前らで救助しろ」
澪斗「わ わかった」
時間を止めると多少腕に震えが出るので1分でそれを何とかする
???「っせい!!!」
1分後 また時間を止めてくれたのでその場にいた全員が本気で魂を救助
龍(りゅう)「ダメだ間に合わない………」
???「残りは俺がやってやる」
何とか9割の魂は救助できたが残り一割が時間内に終わらず時間を止めた人がやってくれた
凛(りん)「!お兄ちゃん!」
友希「え?」
???「………敵が来る………全員走れ!!!」
凛が青年を「兄」と呼んだがそれよりも敵の気配を察知して青年が先導しつつ、近くにいた凛を青年が抱き抱えて走り出す
???「首に掴まっていろ 落ちるぞ」
凛「うん!」
大和(やまと)「足速いな………」
慎毅「でも俺達に合わせてくれてるみたいだぞ?多分本気を出したらもっと早い」
青年が走る方向に走っていると敵の気配がどんどん薄まっていき気がつけば気配がない
???「この辺でいいだろ 気配も消えたし」
友希「えっと………ありがとうございます……」
???「何が?」
琥神「助けていただいて………」
??? そんなつもりは無かったんだが………
友希と琥神に感謝をされた青年だが実はたまたまその場に居合わせただけ
???「っ………」
ふと青年は見覚えのある街風景を見た瞬間に頭痛に襲われそのまま倒れ込む
凛「お兄ちゃん!!」
???「…………」
龍「意識を失ってる………」
琥神「……やばいぞ」
倒れた青年を琥神は起こそうとしたのだが敵の気配を感じやむを得ずその場をあとにする
〜2時間後〜
通行人「お兄さん お兄さんったら」
???「………ぅ………」
通行人「大丈夫ですか?」
???「大丈夫です………」
??? あいつら何もしないでそのまま行ったのか……?普通起こすかなにかするだろ………
2時間後 通行人に起こされた青年は彼らの足跡を辿っていく………すると事務所か何かの場所につきそこに入ったはいいが………
社員「?」
すごく不思議そうな顔をされてしまいどう反応したらいいのか
???「道に迷ったみたいで………」
???「そうみたいだね」
??? あれ?この人………
「道に迷ったみたいで」と言うと1人の年配の人が来てあったことがないはずなのに親近感が湧く
???「私の名前はキューレイ こっちに来たまえ」
???「はあ………」
??? どこ連れてかれるんだろ………
キューレイに連れられて青年はくらい場所に連れていかれた
キューレイ「私と君は結構前に何度か会っているのだが………覚えているかい?」
???「………記憶がないんだ 俺が特別な力を持っていること以外は何も………」
キューレイ「君にこれを渡しておこう いずれ役に立つ」
キューレイはそう言って懐に入れていた黒いキューブの欠片のようなものを渡す
???「これは?」
キューレイ「45個の欠片を集めればキューブになるからそれを探して組み合わせれば………君のその記憶喪失の理由がわかるかもしれない ………君が記憶喪失になる前に私に預けたものだよ」
??? 俺が預けた………?
キューレイ「着いたよ」
キューブの欠片をじっくりと見ながら後ろを歩いていたら着いたのかキューレイが扉を開ける
凛「あっ」
キューレイ「暫くはここで身を休めるといい」
???「どうも………」
キューレイに押されて部屋に入ると特別な力を持つ者達が全員揃っていて、まず最初に文句を言って怜皇が弁明
〜かくかくしかじか〜
???「……せめてナイフの1本くらい置いて行ってくれ………戦闘になったら俺もただじゃ済まない」
大和「ほんとすいません」
???「もう怒ってない」
凛「お兄ちゃん」
琥神 さっきから凛があの人を「お兄ちゃん」と呼んでいるが………
凛「お兄ちゃん」
???「………人違いじゃないか?」
凛「ううん合ってるよ?」
???「と言われてもな………」
記憶のない青年からすれば凛は本当に妹がいるのかわからない
凛「お兄ちゃんはいつも胸の内ポケットに免許証を入れてる」
凛がそう言うので胸の内ポケットを探ってみると本当に免許証が入ってた
???「………「アルファーダ・クロウウェン」?」
慎毅「貴方の名前じゃないか?」
???「まぁしっくりくるからそうなんだろうけど」
琥神「分からないんですか?」
友希 もしかして………
友希「記憶喪失なんですか?」
クロウウェン「そうらしい 唯一わかっているのは俺が特別な力を使えるって事くらい………やり方はなんとなくでできるからいいけど………自分が誰なのかもわからない」
凛「お兄ちゃんはお兄ちゃん」
クロウウェン「いやだからその確証は?」
凛 確証って………
凛「お兄ちゃんは特別な力を持ってる人には珍しい左利きだし銀髪で目も銀色」
友希「クロウウェンさんもそうですね………」
クロウウェン「言われたように俺は左利きな上にさっき免許証の場所も言い当ててたからな………全然実感湧かない………」
凛「((o(*>ω<*)o))」
凛からすればずっと探していた兄に再会できて嬉しい
クロウウェン「俺が兄ねぇ………」
凛「(≧∇≦*)」
凛はクロウウェンが兄だと認めたので嬉しくて抱きついていてクロウウェンも頭を撫でる
澪斗「そんなに実感湧かないんですか?」
クロウウェン「記憶が無いからな………」
躍刃(やくば)「そもそもなんで一番大事な記憶がないんですか?」
クロウウェン「俺に聞くな俺に………目が覚めたら見覚えはあるが知らない場所で何も覚えてなかったんだ………ただ45個のキューブの欠片を集めればキューブになって、俺の記憶喪失になる理由がわかるかもしれないらしい………だが確証はないし「昔俺に預けられた」とも言っていた………昔の俺の仲間のところに行けば持っているのかもしれないし………はたまたどこか別のところにあるのか………全くわからん」
躍刃 大変そうだな………
龍「探すの大変そうですね」
クロウウェン「そればっかりはしょうがないだろ それにお前ら命狙われてんだろ?」
澪斗「はい」
クロウウェン「武器を持てばある程度戦えるから俺も同行する 後何か嫌な予感するから全員立って」
クロウウェンが何か嫌な予感を感じて全員を立たせ荷物を持たせて本棚の本を1冊抜き取る………すると本棚が上に開き隠し部屋が出てきて全員そこに入れる
クロウウェン「よっと」
そして全員を入れたあとにクロウウェンも入り持っていた本を隠し部屋の中から入れる
雅僞杜「誰か入ってきましたね」
クロウウェン「静かに」
クロウウェンは本の隙間から見える部屋に入ってきた人間を観察
クロウウェン 侵略者だな………だが侵略者は色彩が人間よりも衰えている………だから黒はうまく見えない
侵略者「いないようだな」
侵略者「だがつい先程までは居たんだろうな 匂いがする」
侵略者「遠くには行っていないだろう 探しに行くぞ」
侵略者「はい」
クロウウェン 嗅覚は鋭いからな………この部屋が匂いが途切れる仕様で良かった………
とそこまで思ったところでクロウウェンは自分が隠し部屋の存在を知っていて、しかもその部屋の中の構造を熟知しているのを知る
クロウウェン 何度かこの部屋に入ったことがあるということか?もしそうなら………
クロウウェンはゆっくり静かに音を立てないように歩き一番奥に行く………勿論真っ暗で何も見えていないのだが扉があることに気がつきそれを静かに開ける………すると扉の先には車が待機しており「乗れ」と合図
クロウウェン「皆 車が待機してる」
クロウウェンが全員に聞こえつつも外には漏れない音量で言うと、全員気がついたらしく音が立たないように動き車に乗り込む
クロウウェン「まさか車が待機してるなんてな」
と言いつつクロウウェンは席が空いていなかったので助手席へ
???「お前がルァーザグに恩を売ってたからな」
クロウウェン「………俺のこと知ってるのか?」
???「キューレイさんから話は聞いてる記憶喪失なんだろ?俺はお前の仲間の「ザキラ」の双子の兄の「リクア」だ」
まさかの運転手がクロウウェンの知り合いだった
クロウウェン「仲間いたんだな」
リクア「そりゃそうだろ 1人で戦うとか無理にも程がある」
クロウウェン「どこ向かってるんだ?」
リクア「アキリアの所だ あいつの所に運んだほうが効率がいい」
クロウウェン 「アキリア」ってやつも俺の仲間のパターンだな………
リクア「にしてもお前……本当に何も覚えてないんだな」
クロウウェン「?」
リクア「わからないなら分からないでいいよ さして支障はないから」
クロウウェン なんの話をしてるんだ?
リクア「昔お前凄い強かったんだよ?戦時中も1人で敵の戦地を駆け抜けてその手柄も自分1人で手に入れて………孤児だった俺達を助けてくれた」
クロウウェン「………そう………なのか」
リクア「お前生存本能が強いのか大怪我負っても力使ってすぐ治してたし刀が折れようと関係なし、使えるものはとことん使うって感じだったのに人を捨て駒のように扱わないから支持率高かった、むしろ大事にし過ぎて1人で突っ走るって感じでさ………そんな姿に俺を含めた30人は支えていこうって思って仲間になった………最終的にお前が全部背負っちまってたけど」
リクアはクロウウェンにそんな話をする………クロウウェンはその話にどこか懐かしい感じがして目を細めた
クロウウェン「………俺 本当に何も覚えてないんだな………」
リクアのことばの数々は確かに懐かしい………だが肝心の記憶がなくてクロウウェンはそう呟く
リクア「確かに俺達からしてもお前の記憶喪失は少し寂しいけど生きているとわかっただけ良い方だ
今まで生きているのかさえも分からなかったしそれを知ってたのはアキリアだけだった」
クロウウェン「アキリアは知ってたのか?」
リクア「あいつ元々天界から来てるからな 人間の中の1割は天界から来て人間になった天使達なんだ………アキリア曰く「個体差はあるが人によっては見える」って言ってたな」
クロウウェン 天使から人間になる………か……翼を失う代わりに………って感じかな
そんなことを思いつつクロウウェンは眠くなり背もたれに頭を預けて目を閉じた………
リクア「クロウウェン 着いたよ」
クロウウェン「ぅ………」
リクア「お前が連れてきた人達は案内したから後はお前だけ」
クロウウェン「まじか………」
完全に寝起きの状態であるクロウウェンはすぐには動けないのでリクアの手を借りて歩く
リクア「相変わらず寝起きは動けないのな」
クロウウェン「どうにも動かん………」
身体の動かないクロウウェンは脚もおぼつかずリクアが腰を抱いてくれて、なんとか動けてはいるが度々足に力が入らず倒れそうになる
???「リクアおかえり」
リクア「ザキラただいま アキリアは?」
ザキラ「今ガレージにいる」
クロウウェン そろそろ体が動く頃だな………
クロウウェン「リクア そろそろ動く頃」
リクア「そ?OK」
クロウウェンがリクアに言うとリクアも大丈夫だと判断して手を離すと一応は立てた
クロウウェン「………ちょいタンマ」
クロウウェン 立てるけど動けねぇ
リクア、ザキラ「了解」
クロウウェン 何分で動けるかな………
そんなことを思いながらクロウウェンは足に回復力を集中させた………
〜5分後〜
クロウウェン「5分かかった………」
まさか5分も動けるまでにかかるとは思わずクロウウェン本人が驚く
ザキラ「結構かかったね」
クロウウェン「前もここまでかかってたのか?」
ザキラ「え?」
リクア「記憶喪失だから覚えてないんだよ」
リクアがザキラにそう説明しザキラも納得
〜リビング〜
凛「お兄ちゃ〜ん((o(*>ω<*)o))」
???「クロウウェン」
クロウウェン「「全員」揃ってるんだな」
リクア 今アキリアを確認しないで「全員」って言ったな………覚えてはいないけど心が理解してるってことか………
???「クロ」
クロウウェン「えっと………?」
???「「リュークロイア・アキリア」 お前の最初の仲間」
クロウウェン「アキリア………な わかった」
アキリア キューレイから聞いてはいたが………本当に覚えてないんだな………
アキリア「クロの部屋は2階の奥の角部屋 風呂と飯は?」
クロウウェン「風呂先」
アキリア「部屋に個人風呂あるよ」
クロウウェン「了解」
アキリアに言われ部屋に行ってみるとやはり懐かしく感じる
クロウウェン もしかしてこの部屋俺が使ってたのか?なんとなくどこに何があるか分かるし………
クロウウェンは取り敢えず部屋の中を探索し風呂へ
アキリア「マジで記憶無いのか………嘘だと思ってた………」
リクア「俺もそうだよ」
ザキラ「でもさっき「全員揃ってるんだな」って言ってたよね アキリアを確認する前に」
アキリア「心では分かってるってことだろ」
アキリアはクロウウェンの部屋に服を置きに行った後に着ていた黒い上着を脱いでそう言う
アキリア「…………」
リクア「アキリアってなんか辛いことあるとウォッカ飲むよな」
アキリア「………本当に記憶が無いなんて思ってなかった」
アキリアは癖で何か辛いことがあるとウォッカを飲むのでわかりやすい
アキリア「クロウウェンと再会するまでの50年間1人でここを守ってきた………」
リクア「知ってる」
ザキラ「ここは元々アキリアとクロウウェンが一緒に住んでた家だから………」
リクアが連れてきた10人は風呂に入っているのでそんな話をできるのだが………アキリアは相当ショックを受けているらしく声が沈んでいる
クロウウェン「…………」
アキリア「クロ 今飯作るから座っててくれ」
クロウウェンが風呂から上がりリビングに来る頃にはアキリアは本調子に戻り、子供らが来るより先にリクアとザキラ、アキリアで料理を作りつつテーブルに運ぶ
クロウウェン「アキリア」
アキリア「ん?」
クロウウェン「これ何かわかるか?」
料理を作っている最中にクロウウェンが台所の前に立ちキューブを見せてみる………するとアキリアは「ああこれか」と言う
クロウウェン「知ってるのか?」
アキリア「ブラックキューブだろ?リクアとザキラが欠片持ってる 近づけてみ」
アキリアに言われてリクアとザキラがキューブの欠片を出しそれを近づけてみると………特殊な電気か何かが出て2つのキューブの欠片が別々の場所にはまる
クロウウェン「どうやってくっついてんだこれ」
アキリア「力を使ってついてるんだよ その力が消えればキューブは力をなくす」
クロウウェン「力がなくなったら?」
アキリア「その力を持っているやつが死んだらそのキューブも使い物にならないってこと」
クロウウェン つまり今これが使えているのは生きている証拠………
アキリア「つか おかえり」
クロウウェン「え?」
アキリア「ここ 俺とお前が一緒に住んでた家だから」
クロウウェン 通りで俺が部屋の中を知ってたわけだ……
クロウウェンはその時まだ気がついていなかった………アキリアがブラックキューブの欠片を持っていることに………
失われた記憶 ガルガード @Garugard
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