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 住宅地の小さな公園であっても、この時間は中途半端過ぎで人っ子一人いなくてガランとしていることが多い。そんな静かな空間で逢引き現場を見てしまった。

 公園の傍にあるコンクリートの塀の家は、格子の付いた勝手口から公園に降りられるように階段が作られている。その階段の一番上に彼女はいた。

 艶やかな黒に真っ赤なリボンの、耳がピンと立った猫ちゃん。その子はたまに店の裏路地に来てくれる子で、仲良くなるために猫用スナックを購入して貢いだりしている子で。

 そんな子が嬉しそうに目を細めて身体を擦り付けていたのは、格子越しの真っ白い・・・犬。

 どの犬種かは分からない。犬に詳しくないから。でも多分、柴とかそう言う感じの中型犬のシュッとしたやつ。鼻も長くて、格子から飛び出た鼻に、猫ちゃんがすりすり・・・

 まさかの種別越え。普通猫と犬って喧嘩するって言うか、仲が良くないと言うか、一緒に居る事すら想像できないくらいなんだけど。なんで!

 こんなに好き同士みたいなの。

 猫と犬なのに。結ばれることなんて絶対にないのに。子孫だって残せないし、寿命だってきっと違うんだろうし。なんで。

 なんで?

 気づいたら足を止めてじっとその光景を見てしまっていた。はっと気づいて足を踏み出す。二人はこちらに気付いていないようだった。幸せそうに陽の光を浴びていた。

 なんで、なんて。

好きになってしまったのだからそんなこと関係ないんだろう。猫と犬だろうが、あの子達はあの子達だから。

 きっと一緒に暮らすことも、一緒にご飯を食べることもないんだろう。それでも二人一緒にポカポカとひなたぼっこして、鼻をすり寄せて想いを確かめ合っているのなら、こんなに純粋で素敵な関係があるだろうか。二人にはまどろっこしい気持ちなんて少しもないのだろうだから。

 好きだから、一緒に居る。ただそれだけなんだろう。

 なんかちょっと羨ましい、かも。なんて。人間ではそう上手くいかないものだから。

 そろりそろりと、二人の空気を壊さないように、少しでも長く一緒に居られるようにと足音を立てないようにその場を去った。

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