ベレシート・カノン

神楽 禊

プロローグ

 君達は神と呼ばれる存在を信じているかい?人によっては神を信じ、祈りを捧げる者もいるだろう。しかし、この時代殆どの人間が信じていないだろう。前者の者達よ、喜ぶといい。後者の者よ、それの考えは間違っている。神と呼ばれる存在は確かに存在する。しかしそれは、神話に語られる人間を救うものではない。彼は世界を運営するという重要な責務を任されていながら、その責務を放棄。あろうことか、護るべき人間を滅ぼそうとする悪神へと成り果てた。さて、君達人間はこのまま滅ぼされるのか、それとも生き残るのか…見ものだね




 一面炎に包まれた大地。そこに、艶やかな黒髪、獣のような黄金の眼差しを持った男が立っていた。


「この程度でこの我を倒そうとは…愚かよな…」


 男は、近くで倒れ伏せている兵士達を見ながらそう言う。


「あ……く…まめ」


倒れていた兵士の一人。どうやら意識があったらしく、男の顔を睨みながらそう呟く。すると次の瞬間。兵士の男の腹部に大きな穴が開く。


「ぐがぁ!!」


突然の激痛に兵士の男か顔をしかめ、絶命する。すると、男の後ろに金髪碧眼の少女が現れる。


「無礼者め…ジーク様に対して不敬だ」


少女は先程まで生きていた兵士を睨みながらそう呟く。どうやら、彼の命を奪ったのは彼女らしい。


「時期に死ぬ命であった。態々手を下す必要はなかっただろう。アルト」


ジークと呼ばれた男は、金髪碧眼の見目麗しい少女、アルトにそう言う。


「申し訳ございません!貴方様を侮辱した瞬間を目にして…」


ジーグの言葉にアルトはその場に跪く。


「よい…別に咎めているわけではない。其方の忠誠心は分かっているつもりだ。それで?其方達に任せていた仕事は」


「おう、俺たちの仕事はキッチリ終了したぜ大将」


ジークがアルトにそう問いかけると、アルトの横に、身の丈程の槍を担いだ男が現れる。


「猛犬か…貴様がここにいると言うことは、もう仕事がないと言うことだな。戦を楽しむ貴様が、戦場に背を向けてまで我に報告する筈がないからな」


ジークが微笑しながらそう言うと、猛犬と呼ばれた男は嬉しそうに笑う。


「流石大将!俺のことわかってるね〜」


「なに、部下のことを把握しないなど将として失格であろう。さて、雑談はここまでだ。どうやら他の者らも仕事を終えたらしい」


ジークがそう言うと、アルトと猛犬の後ろから十人の人影が此方に近づいてくる。


「さぁ…来たる日への準備は整った!!!我々は世界を救う為に世界を壊す!!!」


ジークは部下達が集まったのを確認し、高らかに叫ぶ。その叫びを聞き、部下である者たちはその場で跪く。


「「「「「「「「「「「「はっ!全ては御身のために」」」」」」」」」」」」





さぁ…世界を救う英雄達が現れた。しかし、彼らは人を救う事をしないだろう。彼等は世界を救う者…人間を救う者ではない。ならば、人を救うのは一体誰なんだろうね…


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ベレシート・カノン 神楽 禊 @Kurohige1020

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