5年目の片想い

橘蒼衣

第1話 出会い

私には好きな人がいる

でも、その人に伝えることはできない

だって、その人も女の子だから


彼女と出会ったのは今からちょうど5年前の夏だった。

高校のスピーチコンテストに出た私が会場のエントランス脇にあるテラスで調整をしていた時だった。


「君、上手いじゃないか」


ブレザーの制服を着て、背が高く、大人びた彼女には、セーラー服の制服を着た私が幼く見えたのだろう。

後ろから拍手をしながら、そう声をかけてくれた。

その瞬間、心奪われた気がした。


「ありがとう。今日、出るんだよね?発表番号2番の片桐麻乃。宜しくね」


「あっ、先輩だったんですね!?すみません。後半1発目の河西杏菜です」


「謝らなくていいんだよ?全然、タメ口でいいからね?」


今から思えば、ここから私の片想いは始まっていたのだと思う。


1つ年下の彼女は明るく聡明な子で共通の趣味もありすぐ打ち解けた。


「メールアドレス、聞いてもいいですか?」


「いいよ!河西ちゃんも教えてくれる?」


その場でメールアドレスを教え合って連絡を取り始めることになった。

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