魔王が討伐された後の世界にて、冒険者だった父とドラゴンである母の間に産まれたハーフドラゴンの主人公が、世界を歪める企みを自然地理学の視点で阻止してゆく、という個性的なストーリー。
ハーフドラゴンの主人公シドウは、人の姿にも竜の姿にもなれる男の子です。本来なら戦闘向きに思える体質ですが、彼の選んだ道は学者で、性格も優しく遠慮がちで戦いに向きません。
そんな彼のパートナーになって一緒に冒険するのが格闘派少女のティア。
互いにほんのり惹かれつつも、押しの弱いシドウ君ではなかなか発展しない関係が何とも微笑ましいです。
途中から仲間に加わり、一度は別行動になる赤髪の魔法使いアラン氏も、なかなかに食えない人物。しかし、彼の存在が物語に起伏を添えてくれるのです。
彼らが立ち向かうのは、さまざまな形態のアンデッドたち。そしてそれを利用しようとする黒幕たちです。最終章にて全部の事情が明かされたとき、シドウ君たちが道中で遭遇した事件や歪みが一つの線でつながることでしょう。
もちろん、ファンタジーならではのバトルもあり。クスリと笑えるハートフルなやり取りもあり。
18万字弱で完結していますので、ぜひご一読ください。