井の中のなんとやら

 講義はしっかり受けた後で、僕らはマサオの家に集まっていた。夕食には大量に買ってきた食材を全部鍋にぶち込むという、まさに男子大学生がやりそうな馬鹿っぽい料理を作った。しかしそれが盛り上がるのなんの。こんな風に馬鹿をやれる友達は多分、お金なんかよりずっと大事だろう。


 だからこそ僕は、何も躊躇わずにみんなのためにお金を使える。


 こいつらのためなら、惜しくないと思える。


 その後、僕らはしばらくの間テレビゲームをしていた。一昨日かずき君とやったあのゲームだ。


「よっし、じゃあ最後に1対1のガチバトルやるか」


「久々の最強決定戦だな」


「別に僕抜きでやってればよかったのに」


「バカヤロウ、優勝者がいないでやったって意味ねぇだろ」


「そういや前回の優勝僕か…」


「ずっとお前が優勝してんだろ」


「誰が最初にユウを倒すかな~」


「あー…申し訳ないけどつい最近負けたよ…」


「え!?」


「は!?」


「近所の子にね…」


「お前…」


「俺、お前がマジで世界で一番強いと思ってたのに…」


「それは言い過ぎ」


「いやでも大学で一番なのは間違いないと思ってたぜ?」


「すまんね…子供ってなんであんなにゲーム上手いんだろね…」


「俺らもつい最近二十歳になったばっかのガキやろ」


「ちげぇねぇ」


 そんなこんなで始まった最強決定戦だったが、結局勝ったのは僕だった。


「ブランクあるのになんでこんなつえーんだよ…」


「でもユウはこれでも近所のガキに勝てなかったわけだろ?」


「まあ、そうなるね」


「………なんか萎えるな」


 ま、上には上がいるってね。

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