2章 待ち惚けの好
来訪
「はい、どちら様・・・あ」
家のインターホンが鳴らされ玄関に出ると、そこには僕のよく知る人物がいた。
「お兄ちゃん、こんにちは!」
「かずき君・・・こんにちは」
そこにいたのはかずき君と、その母親だった。
「すみません、急にお邪魔してしまって・・・」
「ああ、いえ。どうされたんですか?」
「先日桐敷さんに息子を助けていただいたとお聞きしたものですから。そのお礼をと思いまして」
「・・・お礼、ですか」
助けたお礼。
助けた。
・・・・・。
僕はかずき君を、助けたのだろうか。
「本当にありがとうございました。もし桐敷さんが助けて下さらなかったらどうなっていたか・・・」
「そんな。別に大したことをしたわけじゃないですよ」
「いえ、できれば是非しっかりとお礼をさせていただきたいです」
「あー、そう、ですか。じゃあよかったらあがっていって下さい。折角ですから。お茶でもお出ししますので」
「お菓子ある?お菓子」
「こらあんた!」
「はっはっは。好きなだけ食っていきな」
かずき君の顔を見て僕は確信する。
今日は沙夜のいない日なのだと。
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