2ページ
「わぁ綺麗」
「でしょ? 居酒屋とは全然違うんだから」
「すごいっ」
夕日のようなグラデーションをキラキラとした瞳で見つめてくれる。純粋か、可愛い奴め。
「美味しいっ」
「でしょ?」
でしょでしょ、そうでしょ。カシオレだって女性だけの飲み物じゃないんだから!
「マスター、この間はありがとうございました」
「いえいえ、とんでもない。こちらこそ大変すばらしいものをみせて頂いて」
「いや、そんなこと」
「そんなことありますよ」
「本当はもっと早くにお礼を伝えたかったんですけど、その後もいろいろ忙しくって」
マリオ君は劇団の舞台役者で、一ヶ月くらい前にその劇団の最新の舞台を観に行っていた。彼の舞台は何度も観に行っているけれど、ドンドン実力が上がっているのが素人の俺でも分かる。彼はとても素敵な役者さんだ。
「こうして顔を見せてくれただけで私は嬉しいです。マリオ君の殺人鬼役、とても魅力的でした」
「そ、そうですかっ」
「はい。いつものマリオ君とは正反対のキャラクターだったのに、ぴったりとハマっていて」
「あ、ありがと「ですよねっ!」
マリオ君が恐縮気味に頭を下げたと同時に、突然隣の彼が前のめりに言った。
「あの時の先輩、凄く良かったですよねっ!」
大きな瞳をキラッキラに輝かせて言う彼は、良く見ればあの舞台で・・・
「もしかしてお客様もあの舞台に?」
「へっ! 分かりますか」
確かあの、ボーイ役をしていた「良く分かりましたね、俺女の子役だったのに」
・・・マジで?
「ヒロインの付き人であんまり喋らなかったから男だって気づいた人は少ないと思ったんですけど、マスターって凄いんですね」
「・・ふふ、それほどでも」
ないけどね!! 確かに良く見たら、髪の毛を伸ばしてメイクしたらこんな顔立ちだったような気もする!! 愛らしい感じだった気がする! なんでこんなに男の子なのに可愛いの!
「ふふ、この子が可愛いのは顔だけじゃないんですよ」
「と、言いますと?」
「実は彼、マリカって名前なんです」
「女の子みたいな名前ですけど本名です」
よろしくお願いしますね、と続けて小首を傾げる姿は、少年らしさの残る可愛らしさで。
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いしますね」
マリオにマリカ。うーん、これからのスタジオトライトットに期待が膨らむ膨らむ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます