魔導師は出発する
食べ物のこととなると急に明るくなるな
さっきまでの寂しさが嘘のようだ
今夜のメニューはニーナさんが特別に作ってくれたビーフシチューと柔らかい白パンだった、味はもちろん美味いがおかわりは3杯が限界だ
ミーアは寸胴の鍋に入ってたビーフシチューを全て平らげたところでお腹いっぱいになったところ寝てしまった
どう見ても鍋の方がミーアの腹より体積が大きい、ミーアの腹を研究して虚空倉庫の代わりを作ってみるのもいいかもな、冗談だけど
「ミーアー、起きろー」
「ニーナさん、ミーアを起こしてもらえませんか?」
姉の前で体を揺するわけにもいかない
ノータッチノートラブルだ
「ああ、これは朝まで起きないわね、一回寝ちゃうとこうなるのよ」
なんか嘘をつかれてる気がする、ニーナさんは俺たちのことをからかっている気を以前から感じているのだ
ここで嘘だと疑うのもニーナさんに悪いのでそのままベットまで持っていくしかないな
俺はいわゆるお姫様抱っこでミーアを部屋に運ぶ
体重は夕飯を大量に食べたせいでもちろん重いが体重からビーフシチューの重さを抜くと、ミーアの体重は軽い部類に入ると思う。
「これでよしと、ミーアおやすみ、明日は遅く起きてもいいからな」
返事が返ってこないのは知ってるがなんとなく言ってしまった
「ユータ…………す……き」
ミーアの微かな音の寝言が聞こえてくる。
ユータ○○すき?マルの部分が聞こえなかったがここに言葉を入れるというなら
そうだなぁ……金か?
「ユータの金すき」だったらユータさん泣いちゃうぞ
冗談は置いといて、俺も寝ないといけない
なもう12時だ、明日はできれば午前中には出発したい、ニーナさんに一言言って俺も柔らかいベットに埋もれるとしよう
「ニーナさん、俺ももう寝ます。冒険もミーアの安全を第一に考えて行動します、あと俺とミーアは強いので安心して送り出してあげてください」
チートスキル持ちの俺なら油断しない限りミーア一人くらいなら守りきれるはずだ
それにミーアも冒険者でもかなり強い部類に入るので多少は自分の身を守れると思う
「ええわかってるわよ、ミーアったら毎日ユータさんの自慢ばっかりしてるから
それにユータさんはレベルがえーっと324でミーアは310だからそこらへんの冒険者なんかよりはずっと強いわね
これなら安心できるわ」
ん? なんで俺のレベルを知ってるんだ
ミーアが俺に教えたのか? まあ、ニーナさんだったら教えてもいいけど
「なぜ俺のレベルがわかる! って顔してるわね
私も冒険者でブイブイ言わせてた時期もあったのよ、ウフフ
ミーアにはナイショにしといてね、女は秘密があるから美しくなるのよ」
ニーナさん冒険者だったのか! 俺のレベルが324で自分のレベル以下の人のレベルは見ることができるから……
ニーナさんはレベルが324以上か俺が言うのも変だがかなり強い
「わかった、ミーアには言わないでおきます。話し込んでしまいましたね、おやすみなさい」
「おやすみなさい、ミーアの愛しのユータさん」
またからかわれた、まさかニーナさんは俺の本心を知ってるのか? そんな素振りはしてないはずだがニーナさんには通じないかもしれない。
俺はベッドに入りすぐに寝てしまった、今日はウォータイガーを倒すのにかなり精神的にも肉体的にも疲弊してしまった
「おーい、起きろー、ユータさーん」
「ん……やめて…くれ……ミーアか?」
「そーだよ! ユータさん、おきてー」
もう少し寝ていたかったが、仕方なく起きるとするか、体を起こすとミーアの冒険に持ち込むもうとしてるものが散らばってる、ここ俺の部屋だよな
「ミーア、ここら辺のものはなんだ?」
「今日冒険に出発するから早起きして私の荷物をユータさんの虚空倉庫にしまってもらおうと思って運んできたの」
ん?なんか無駄なことしてない?
「突然だがミーア、俺はお前をガッカリさせてしまうことを言うかもしれない、傷つけるかもしれない言っていいか?」
「急にどうしたの? 私何もしてないよ
まさか冒険行くのやめるとか……!」
「ミーア、俺がお前の部屋行けばよかったんじゃ……ない」
「あー!、私の苦労をかえして、かえしてよー」
おお、急にメンヘラみたいになった、恐ろしい、恐ろしい
「とりあえずしまっとくか」
「うん……朝5時に起きたのに……」
これは言わない方が良かったか?ストレージは収納数無限なのでミーアの上半身が映るくらいの大きな鏡や何着もの服をしまうことができる
「しまうものはもうないな」
一応確認しておかないと道中に大事なものを忘れたりしたら取りに行けないし、旅行中に財布なんて忘れたら、そこからヒッチハイク地獄だ
少しの注意でそういうことが防げるなら確認するべきだ
「もう部屋は空っぽだから入れるものはないよ」
「そういえばこれ、渡し忘れてたものだ」
昨日のウォータイガーの素材を打ったお金の150万zの半分を渡す。二人で狩って、獲得したお金だ、分けるというのが当然だろう
「私は3分の1でいいよ、私も狩る手伝いはしたけどあくまでもメインはユータさんだし」
「ミーア、これから俺たちは一緒に冒険に出るんだ遠慮なんてしてたら冒険なんてしてられないぞ 俺の呼び方もさん付けじゃ無くてユータで頼む」
ミーアは時々俺に遠慮している冒険なんて危険と隣り合わせだいちいち遠慮なんてしてられない
「わかったユータさんに遠慮するのはやめる、もっともっとガツガツいくからね覚悟しといてよ
でもユータさんはユータさんだから変えられないかな」
ユータさんはユータさんか、実は俺もこの呼び方が気に入っていたりするから地味に嬉しい
「そうか、もう一度言うが遠慮はするなよ、じゃあ出発するか!」
「おー!」
「じゃあお姉ちゃん行ってきまーす!」
元気な声で手を振って姉に挨拶をする
「いってらっしゃいミーア、それにユータさん! おめでたい報告待ってるわよ」
おめでたいが何を意味してるが分からないがミーアの門出を祝ってくれるようだ
「それじゃあ行くぞ! ミーア」
「うん!」
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