第17話;アンデッドの森

がれきに腰を落とし、地面に横たわっているルミナスを眺めるあきら


「男?女?どっちだろう?背中の感触は男だったけど・・・」


がらがら!がれきが崩れる音がした。


がれきを歩いて来たハルトをあきらが見る


「こいつはどうやってここからだす?」

「移転もあるけど、コイツに運ばせる」


ハルトの影から死霊騎士が現れた


「こいつの体の中に取り込んで、陰に忍ばせて浄化結界の外まで運ぶ」

「言ってた死霊騎士か、復活したんだな」


<ルミナス様をお助け下さり有難うございます>

「お!礼儀正しいな」


「うっんっ」

ルミナスが目覚めた


「はっ!・・・・”ダレン”!!無事だったのか!・・・よかった」

死霊騎士を見て言うルミナス


「ダレンという名前付けたのか?信頼しているのが解るな」

「ハルト様、ありがとうございます、でもこの浄化結界が有っては・・・」


<ルミナス様、私の体の中にお入りください、ハルト様の影に潜めばそのまま外に出れますので>

「え?”ダレン”の中って」

真っ赤になるルミナス


「何赤くなってんだ?バンパイヤも赤くなるんだ・・・」

花音が顔色の悪いバンパイヤを思い出して言う

「そう言えば、他のバンパイヤは顔色悪かったけどルミナスは顔色良いよね」


「・・・・私まだ、人の血を吸ったことないから・・・魔物の血だけ」

「ああ、人の血にはバンパイヤにとっての麻薬のような毒があるからな、それにより人間の血に溺れるし顔色が悪くなる」

「「「知らなかった」」」


「あきらも人間の血は・・・あれ?腕食らったよね」

「血抜きは抜かりないぜ」

ハルトが自慢げに言う

「肉は大丈夫なんだ・・・・」


「言って悪いが、バンパイヤの肝臓は美味しかったが、人間のは・・・苦痛でしかなかった」

「それは、精神がそう思わせておるんだと思うぞ、バンパイヤは人間の肉も好きだからな」

「・・・・」

ルミナスが、地下らしき入口の見えるがれきを見る


「この地下でも、人間をさらって閉じ込めて食らってみたいだな」

「・・・食べさせられそうになって、逃げてた、何故か嫌だった」


「魂がそう訴えてるんだろうな、お前のステータスに【転生者】の項目があるからな、記憶は無いようだが」

「?転生者?」

「別の世界の魂が攫われてこの世界で生まれ直したって事だ、お前の前居た世界では魔物も居ないし、バンパイヤも居ない、平和な世界だったんだ」


「そんな世界が」

「お前はこれからどうしたい?他の魔族にまだ狙われる可能性はある、あの森に戻って、他のアンデッド達と暮らすか、魔族領に戻るか?」


「・・・・森に戻る、僕が戻らないと皆寂しがるし」

<皆心配しております、いつ帰るのかと聞かれました>


「そうか、じゃ死霊騎士の中に入ってくれ」


死霊騎士が両手を広げた

真っ赤になるルミナス、照れながらその手の中に入る

抱きしめる様に死霊騎士が腕をのばして、ルミナスを体の中に取り込んだ


「何か、イヤラシくない?」

そう之奈が言う

「思った・・・・何?出来てんの?

花音がツッコむ

<?出来てるとは?>


「恋人同士見たいだっていってるんだよ!」

あきらが言う

<へ?交尾と>


「「「ちがーうもっといやらしい」」」


死霊騎士が挙動不審になる

<あっあ!そんな・・・もうこのまま取り込んだままにしていたいなんて思ってますけど・・・えっと>


「死霊騎士がめっちゃ人間みたいなんだけどハルトどういうう事?」

之奈が怪訝な顔をして言う


「ダレン!取り込んでいやらしいことしたら嫌われるぞ、・・ボソ(あんな、だみ声で、幼児体型の何処が良いのか?男でも通じるぞ)」

<?ハルト様?そんなことしたいですけどしてません>

「したいんかい!ま、とりあえず森へ戻ろう、影に入れ」

<はっはい!>


「意外だった、こんな感情が生れるなんて、予想外」

影に消えた死霊騎士を思い出して言うハルト。



森に戻ると、死霊騎士が影から出てくる

「ルミナスを出せ」

<出さなきゃだめですか?もう少しこのまま>

「本人の承諾無にそれはダメだ!」


<はい・・・・>

表情は骸骨なので見えない、死霊騎士の腕の中にルミナスが


「何か様子可笑しくない?」

「恍惚として居る様に見えます」

之奈と花音がルミナスの様子が可笑しいことに気が付く


「おまえなぁ・・・中で何やったんだ?」

<いや・・・ちょっと体をなでまわ・・・>

「うんっ」


「はぁ・・・暗闇に中で体を撫でまわされたって、普通は恐怖だぞ!」

<すみません・・・自分の中にルミナス様が居るのが嬉しくて>

「え?ダレン?」


「しょうがないな・・・・<状態進化・死霊騎士グレート>


死霊騎士の骸骨の顔が、ボロボロの騎士服が、変わる


「ダ・レ・ン!?」

ルミナスが驚く、死霊騎士のうでの中のままだ


「死霊騎士の力はそのまま、体にルミナスは取り込めるぞ、もしまた襲撃が来たら取り込んで全速力で逃げろ!龍の谷なら奴等は来ない、龍達には言っておくから、闇にまぎれれば、そう追いつかないさ」


「遠くない?此処からだと600キロくらいあるでしょう?」

「3時間も走ればつくだろう?お前なら」

<はい>

「住まいも作ってやる」






「教会?おどろおどろしいわね」

之奈が呆れている

「やはりアンデッドと言えば廃墟の教会と地下墳墓だろう?」


「中世のそう言ううの好きだったわよねハルト・・・」

花音も呆れる


地下に行くと普通の豪華な部屋があった

「てっきりバンパイヤだから、棺桶ベットかと思った」

そう花音言うと

「2人で寝るのにそれは無理だろう?少なくとも城に住んでたんだからベットの方がいいだろう?」

「?ふたり?」

「え?なんのために状態進化させたんだよ」


「・・・いやだ・・・」

<二人・・・>

ルミナスとダレンはデレていた。


「ダレンは俺のスキル幾つか渡しておいたから、オートマタとか作ってメイド代わりにすると良いよ」


「他の、意識のあるアンデッドは墓地の所に小屋つくっておいたから、地中でも小屋でも好きな所に住め、結界も貼っておくから、そう簡単に此処は見つけられないからな」


そこに、アンデットの集落が出来上がった。



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