第15話;あきらとバンパイヤ

次の日、惜しまれながらエルフの里を立ち、彰であろうリッチを探して森の中に入った。


「この辺だな」


「ハルト!あそこにぼろい小屋が」

之奈の指差す川のほとりに小さな小屋が立って居た

「ああ、あそこだな」


小屋に近づくと地面からスケルトンが現れた

『ソレイジョウ、チカズクナ』


「!スケルトンが喋った!」

「俺たちに敵対心は無い、お前のあるじに会いたい、取り次いで貰えないか?」

ハルトが落ち着いて言う


『アルジハ、グアイガワルイ、デナオセ』


「具合?怪我でもしたのか?」

『チガウ、タマニ・・・オチコム』


「精神か・・・アンデッドの闇にに飲み込まれては居ないようだったけどな、スキル;精神耐性 は強いな」


「あきらー!出て来てよ!之奈だよ!私もモンスターなんだ!一緒だから!」

叫ぶ之奈!


「!」

小屋の方から闇の魔法が飛んできた!

ハルト達はびっくりはしたが微動だにしない。

魔法は目の前で消えた。


「あきら!殺気が無いぞ!そんなのバレバレだぞ!」

「あきら!私花音よ!この世界に転生したの!会いたかったよ!」


ガタン!小屋の方で音がした。

『カノン?』

ボソッと声がした


『アルジカラネンワガキタ、トビラゴシナラ、ハナシスルト言っている』


「解った」


スケルトンが行く手を開けた

小屋の前に行くとハルトが話し出す


「あきら、怖がらなくていい、顔を見せてくれアンデッドでも会いたい」

『ボクハ、ミニクイ、キタナイ、コワイ、アエナイ』


「大丈夫だ、俺ら、アンデッドの友達もいる、慣れてるから」

『ソレニ、ボクノモツケンハ、イキテルヒトノマリョクヲ、クラウ』

「そうそれ、此方に渡してくれないか?魔法の調整すれば、持ち主の指示以外で食らうことが無くなるから」

「あきら、出て来てよ」

之奈が訴える


「あまり、待たせるな!小屋ぶっ壊すぞ」

ちょっと問答にイラついて来たハルトが、殺気を混ぜて言い放つ。

『チョットマテ・・・オマエハアイカワラズ、キレダシタラコワイ・・・』


ドアが開くと、付近に死臭が漂い、小屋の中からリッチが出て来た。


「・・・・あきら、肉が少しついている所を見ると、なんとなくアキラだな」

「そ・そうだ・ね」

あきらはずっとおどおどしていた


「おい!之奈」

之奈がぼろぼろと涙を流す


「アンデットでも此処に居てくれた、よかったぁ」

「之奈・・・寂しかったな、50年一人でいたもんな・・・」


『50ネン?ボクトオナジ』


「あきら、状態進化目指さないか?人間に近いアンデットになれる」

『ジョウタイシンカ?ッドウヤッテ』

「バンパイヤの血と肝臓を摂取、その後人間を食べる、人間は一部でいい俺と花音の腕を食べろ」


「!聞いてないよハルト!」

花音がビックリしていた

「あ、悪い、痛く無い様にするし、直ぐ欠損部再生で元に戻してやるから」

「バンパイヤに状態進化はバンパイヤの一部だけ接種すればいいんじゃないの?」

之奈が言った

「それだと、バンパイヤにしかならない、浄化されると消えるし、人間の街に行けない、人間それもハイヒューマンの俺と聖女の腕、それを食らうことによって、より人間に近づける、街に皆で言って買い食いしたいだろう?之奈」

「!うん・・したい」


『ホントウニ、ソンナコトガデキルノカ?ハイヒューマンニセイジョッテ、スゴイナ』


「状態進化しようぜ」


『・・・・・ワカッタ・・・・・』


「順番間違えるなよ、まず、バンパイヤの肝臓食べてからバンパイヤの血を飲む、バンパイヤになるから、その後、俺の腕を食べてから、花音の腕だ、順番は絶対守れよ、特に花音の腕は絶対最後だぞ、浄化されてしまうからな」


ハルトに4品渡されて、小屋に戻るあきら、食べてる姿シュールだろうと、ハルトが戻って食べることを推奨した


花音が腕をにぎにぎしている

「本当に元に戻ってる」



小屋から光が漏れる、中から叫び声が・・・・

「ちょっとハルト本当に大丈夫なの?」

心配そうに之奈が言う

「バンパイヤになるのに苦痛は無いんだが、光属性を帯びる時は苦痛が来るんだ、言ううと怖がるかと思って・・・・」

「え?アンデットに光属性?そんなこと出来るの?」

「俺の腕だぜ!?」

「・・・・そうね・・・・」

「聖女のは?」

「定着の為には必要、属性が身を滅ぼさないようにする為」

「魔力半分腕に込めろって結構きついんですけど・・・」

花音はため息を吐きながら疲れた顔をする。


「ハルト、服ありがとう」

小屋の扉が開いて、アキラが現れる


「あきら!?」

また、之奈が泣きだす


「若くない?」

そう言ったのは花音、16歳くらいに見えるあきらだった

「ルミナスの見た目これくらいの年齢だっただろう?」

「え?ルミナスってバンパイヤの?」

「そ、見た目は接種したバンパイヤの見た目年齢になるらしい」

「ルミナスが純潔のバンパイヤってのが不思議だけどね、何気にへタレだよね」


「凄いね、見た目普通の人だよ、バンパイヤみたいに顔色悪くないし、この日差しの中でも平気みたいだし」

「そのための光属性、でもバンパイヤは変わらないから、血を欲するよ」

「この喉の渇きはそういう事なのか?でも我慢できない事はないよ」

「我慢しすぎると、自我が無くなり無差別に血を吸う化け物になるぞ、乾いたな?と思ったら俺か花音に言え、コップに血を入れて渡してやる」


そういってハルトは蓋付きのビンをストレージから出すと腕を切って血を出す。

「そんなに出してだいじょうぶか?・・・ごくんっ」

「なまつば 飲みながら言ってもな、大丈夫だ」


「ちょっとなめてみろ」

瓶に指をいれて指に着いた血をなめる

「うっ」

「どうだ?」

「あれ?乾きもう収まった」

「光属性持ちだと、血の渇きはすこぶる少量の血で収まる」

「すごい、身体に力が湧いてくる」

「ストレージに入れとくと良い、食事に、一滴いれるだけでいいぞ」


「でもまだ臭いな!皆で水浴びだ!」


「どうしてこんなもの」

手渡されたビキニを手に之奈と花音は困惑した


ハルトとあきらは川に飛び込んでいた

「・・・・」

目を合わせる之奈と花音

どろんとスライムになり次に変化した時にはビキニの之奈になってた

「便利ね~<光のカーテン>」

花音は光に包まれると次に現れた時ビキニになっていた。


「お互いチートね」


そういって二人も川に飛び込む

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