第13話;エルフの里とリッチ

野営のかまどの火を見ながら花音は前世を思い出していた。


4人でハルトの家で勉強した、ちょっとした事で喧嘩した・・・・

ハルトとのプラトニックな甘い関係・・・


楽しかった、私が倒れるまで・・・・

私と変わらず顔色が悪くなるハルトを見て、耐えられなかった、でも離れたくなかった

元世界神のルシフが言っていた輪廻の輪の前でうろうろしていた魂の私、きっと戻りたかったんだろうなと、自分で思っている。


「私が死んだ後、皆げんきにしてた?」

そんな質問をしたあと、ふたり様子が可笑しかった


「元気は元気だったよ・・・」

「?」

「体はね・・・ハルトはもう精神はズタボロ、その後は無気力・・・立ち直るのに2年かかったね、やっと前向きになって来たって思ったら、この世界に転移させられた」


「・・・ルシフ唯一の感謝は再び花音に遭えたこと、そんなに年も変わらない花音に合わせてくれてありがとうな・・・」


「・・・・ぞわぞわ・・・・」

ルシフが毛を逆立てて身震いした


「むっ!何かやはりムカつくな」

ゴン!


「・・・HP;1・・・・」




旅は順調に進み、花音のレベルや之奈のレベルもあがり、

もうすぐ之奈が監禁されていたエルフの里に近づいた。


「之奈、嫌かもしれないがエルフの女に変化してくれるか?」

「・・・警戒もたれずに入り込むにはそれが良いわね、いいわよ」





エルフの里が見えてきた。

「あれ?私が見た時よりも城壁高くなってる?ハンターの集落も人の気配少ないような」

「結構頑丈な結界が城壁に施されているな」

「エルフにそんな魔法使える奴居ないはずだがな」

ルシフが復活して言った


「敵認識はハンターの集落のみで、城壁内には居ないな、完璧に住み分けられている」

「どうしたの?花音?」


具合が悪そうな花音

「なに?この気配・・・怨念?復讐?・・・霊魂かしら」

「霊魂?負のエネルギーの霊魂はアンテットの元になるんじゃ?」

之奈がハルトを見る

「ああ、来るな、気配はあるがまだ遠い・・・とりあえずハンターを探ろう」



エルフの里に到着した。

「!ルールリア!無事だったのか?」

人食いエルフの男が叫ぶ

「どうしたの?他の連中は?少ないわね」

「ああ、定期的にアンデットの襲撃があってな、向こうがが不利になるとすぐ逃げられる、殲滅できないんだ、ヘロンやタイマヤもアンデットにやられた!くそっ長老め!城壁内に入れてくれれば・・・」


「そう・・・・」


「ん?後ろの連中は?お客さん(獲物)か?」

「この人たちに助けてもらったのよ」


「そうか、ルールリアを助けてくれてありがとう、何も無いが、ゆっくりしていってくれ・・・」

舌なめずりをしているのに気がついて、変化ルールリアの顔が歪んだ

トンッとハルトが変化ルールリアをつつく


ハンターの里のいつの家に案内され、睡眠薬入りのお茶を平然と飲むハルトと花音

二人とも毒耐性があるので、効かない






「どうしたの?」

大きな鉈と、鎖を準備しだすハンターのリーダーに変化ルールリアが聞く

「あのお客さん直ぐ食べるぞ!」

「え?」

「ここ数年迷い込む人間たちが少なくて、獲物が取れなかった、それでルールリアに奥地まで行ってもらって、正解だったな」

「俺らの力の源は他民族を食べて魔力増強する為だ、これであのアンデットに対抗できる」

「・・・・・」


『聞いてた?ハルト』

『ああ、バッチリ!・・・馬鹿だな・・・エルフが食べて増強するわけ無いじゃん、単に食って興奮していただけだろう?・・・皆殺し確定・・・いいか?』

『分った』


『本当に馬鹿だな・・・魔族以外でそんなことできるわけが無いのに・・・・』

『魔族は出来るの?』

『ああ。皆じゃないがな、できるやつがいる、アンデット系が多いな、吸血鬼とか』




「大変だー!また来たぞ!アンデットの攻撃だ!」

「何!何時もより早いじゃないか!」

「ルールリア!お前も出ろ!くそっ食ってる暇ないじゃないか!お客さんを連れて来い腕だけでもかじる!」


「うぁ~!無理だ!数が多い」


叫ぶエルフの方を見ると数十体のスケルトンに襲われていた


「スケルトンでも数が・・・!くそ!」


ハルトと花音は鍵のかかったドアを蹴飛ばし壊して外に出た

「アンデット・・・300体位か?奥にリーダー・・リッチか!?」

森の向こうに黒装束で半分骨半分肉の付いた顔をしたアンデットを見るハルト


スケルトンを見て花音が言う

「このアンデット普通のと違う」

「ああ、あのリッチに召還されたものだろうな、あのリッチだけ桁が違う」

「自分から来ないのかしら?」

「・・・・・!」

「?ハルト?」






「ルールリア!どうした!?」


動かないルールリアにリーダーはスケルトンを叩き潰しながら聞く


「私を襲ってこないから」


「!?何故だ?お前だけ?くそっしつこい!多い」


そうなのだ、スケルトンは人食いエルフしか襲ってこない、変化ルールリアを襲ってこないのだ


『人食いエルフ族のみ襲うよう指示が出されてるみたいだ、之奈は見た目はルールリアだが、普通のエルフ族表示になってるな』


戦っているエルフ達を横目に散歩するように歩いている二人、変化ルールリアの元に来た


「さすがに数は多いが、スケルトンだからな・・・もう殲滅出来そうだな、リッチが動くか?」

「冷静ね」

「うん~サーチでリッチが敵マークになってないからな、今現在あいつは俺らを襲わない」


「来たわよ、リッチが」





「くそ!」

リッチが腕を振り下ろす、リッチの爪は長くて堅く凶器になる

キン!

爪と剣が重なり金属音が鳴る


「お前ら!見てないで助けろルールリア!なんで動かないんだ!」


「オマエ、ユルサナイ」


「!リッチが言葉を・・・・」

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