第7話;之奈とエルフ

「之奈!少し待っててくれ」

<ピューイ>


邪龍を取り込もうと広がっていた体を元に戻す


「邪を取り除いて、身体を修復するから」

スライムから之奈の姿に変わると不思議そうな顔をする。


「このまま取り込むと之奈が邪神として復活する可能性があるからな、毒みたいなもんだから、浄化して、ただれた顔で変化もいやだろう?」


「・・・・確かに、・・・・死んでるのに修復できるの?」

「物扱いで修復できる」


綺麗になった黒龍を之奈は大きく広がって捕食する



その間に釜戸を作り、肉を焼きだすハルト

「なんか忘れてる気が・・・まっいっか」


「終わったよ~」

捕食を終えた之奈がかまどの近くの岩に座る


「肉も焼けたぞ」

「・・・え?まだ食べろと?」

「多分、人間の姿の時だと味がすると思うぞ」


「・・・味・・・もう大分前だな・・・がぶっ・・・おっおいしぃ!!!」

「塩だけだけど龍の肉は美味いだろ?」


ぼろぼろ泣き出す之奈

「涙も出る・・・・」

「・・・・辛かったな・・・」


「おまえら~」

遠くから誰かの声がする


「「あっ忘れてた」」


ルシフが駆けてくる














「遅いな・・・・大きな音がしたし、瘴気も無いみたいだし・・・倒したみたいだな・・・でも遅いな・・・・」


「・・・・」


「・・・・」


「・・・・」


「!遥か向こうに火らしき光が・・・・えぇ~・・・まさか・・・俺の事忘れてる?」


駆けだすルシフ









「おっとお前も食うか?」

「・・・・誤魔化すな・・・」


「置いてった訳じゃないじゃない?」

「そうだぞ、迎えに行かなかっただけ・・・」


ぶすぅっとしながら肉を食べる

「・・・美味い・・・」


「俺らが生きてる限り一緒にはいてやるさ・・・その後は自分で考えろ」


「之奈、エルフの話聞いて良いか?」


「うん」








「あれは、この世界に落とされた50年前」






「おお~テンプレ森の中?」

見渡す限り木しか見えない森の中だった

「さて、どんなチート貰えたのかな?選ばせてもらえないのはつらいなぁ・・・」


<ステータス>

名前;木村 之奈

性別;女

年齢;18

種族;人間

LV,10

職業;無し


体力;200

魔法力;200

攻撃力;200

知力;60

早さ;30

運;15


称号;転生者

魔法属性;風・土

ユニークスキル;殺された相手に憑依して体を乗っ取る

スキル;精神耐性、鑑定(中級)



「え?・・・どういう事?ちっともチートじゃない・・・何?殺されたって・・・・殺される前提?」


がさっ


ビクッと音のする方を見た、尻尾が二股になった・・・オオカミだった


「ひっ!」

之奈は走り出す!


もう自分の恰好も気にして居る暇もない、足は泥だらけ、身体中擦り傷だらけで走った

どれだけ逃げただろうか?1時間にも感じた時間、もう終わりだと諦めかけた時、ザシュ!


横から現れた人がオオカミを切り落とした


「大丈夫?」


そう話し掛けた来たのは美しい女性だった


「!エルフ?」


「ええ、そうよ、此処はあまり人間は来ないからビックリしたわ」


そのエルフはルールリア・フレットと名乗った

そう私が捕食したエルフだ


「危ないから里に来る?何人か保護した人間が他に居るし」

「・・・よろしくお願いします」

(エルフって森の守護者よね良い人なのよね、大丈夫よね)


心の中で自分に言い聞かせていた、その時それしか選択肢は無かった


エルフの里はハンターとそれ以外とに住み分けされていた

私はハンター地域にある小屋に案内され


「ごめんなさいね、ハンター以外のエルフは保守的で他の人との接触を嫌うの、落ち着くまで小屋から出ないでくれる?」


そう言われて、数ヶ月小屋の中に居た、出かけてもトイレや水浴びに出る時くらいで、常に誰かが付いてきていた。夜は外からカギががっていたのよね。


食事が美味しくて、かなり太ったわ、そうよね運動してないんだもの。


そんな時、一緒の小屋に居た私より早く小屋に居た女の人が居なくなった。

私よりかなり太っていて、動くのがやっとな位の子だったのに、人間の村に帰ったって言うの、何か違和感を感じたわ。


居なくなった晩の夕食、私は何だが気持ち悪くなって、その肉入りスープを飲むことが出来なかったわ


それからさらに数ヶ月、その気持ち悪くなってから、私は食事があまり多く食べられなくなったの、どんどん痩せて行き、エルフに心配するような言葉をかけられたが目が鋭いことに気が付いたの。


何かあるそう思って、こっそり夜中に窓から抜け出して集落を探索したら、ごみを燃やした後の燃えカスの中に、居なくなった彼女の靴を見つけたの、燃え残った彼女の革靴、親に旅に出る時作ってもらったものだと自慢していた靴・・・・


何かが可笑しいと思った、


何か悲鳴なものが聞こえた気がしてその小屋に向かったの

窓から見たその光景は目を疑うものだったわ

太った男の人が逆さ吊にされて、首は半分切り取られそこから大量の血が・・・


「今日のは大きくて食べごたえありそうね、ところであのやせっぽっち、どうする?」


耳を疑った、食べる?エルフが人を?いや、あの吊るされている男の人は耳が人間の耳じゃない、かなり毛深いし・・・獣人?


やせっぽっちって・・・もしかして私の事?


「食料の無駄、魔獣の囮に使う肉に変えてしましましょうよ」


そう言ったのは、優しく声を掛けてくれたあのエルフだった


私はそっとそこを離れた、鎌が外に放置されていたのでそれを手に取り、ズタ袋に外に置いてある農作物の箱の中から日持ちする根菜を入れ肩に担いで、エルフの里を後にした。


食欲が無くなってから、これでは、動けないと室内で筋トレをしていたので筋肉は少しついていたが、持久力がやはり無かった、1週間ほど森の中を彷徨い、疲れ果てた所にスライムに襲撃されて捕食されたの


捕食されて気が付くと自分がスライムになっていたわ、でも何だろう~人間だった時より、気持ちは安定していたわね、何せ私には攻撃や身を守る術が無かったのに、スライムになったら攻撃も防御も出来る、どんどんレベルも上がる、そりゃ人間に討伐されそうになった時は焦ったけど、どうにか逃げれたし・・・・


その後こっそりエルフの里に行ってみたわ、木に登り安全を確保してね、まだあいつらに敵わなかったから


あいつらは、やはり人間や獣人を相変わらず飼ってたわ・・・

ハンターとその他のエルフの住んでいる所の間に、大きな石造りの砦が出来ていたわ、エルフ同士で諍いをして居る様だった。


「出て行け!」

「いい加減にしろ!野蛮人!」


ハンターじゃないエルフからそんな声が聞こえた


「俺らが居るから魔獣から身を身を守れるんだぞ!」


ハンターからはそんな声が聞こえた。


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