他愛のない話
雨宮吾子
他愛のない話
淡く棚引く雲の面を見上げながら
きっとどこにも存在しない
過去にも未来にも存在しない
今この場所にしか咲かない虹を待ちわびて
駅舎の待合室で暖を取る季節の変わり目
雨季に向けて傾斜を強める気候に
青ざめた感情の閃きが
そっと背中に手を伸ばして
どこかのスイッチを押されたように
冷や汗が迸る
雨を好まずして
虹を好むことの勝手に
付き合う者のないことは明瞭で
その孤独を噛み締めながら
きっと空だけが応えてくれるであろうことを願う
応えてくれるものがないならば
今すぐにでも電車に乗って
南半球へでも行けばいい
ただそれだけの話
それだけの話なのだ
他愛のない話 雨宮吾子 @Ako-Amamiya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます