町田大樹と腐った果実
「
駅前のスーパーに買い物へ来ているとき、友人である
「オレか? そうだな……。どっちかというと、オレは自分から行くタイプだな。まぁ、待ち側であることも多いっちゃ多いけど、基本的に惚れた奴には自分から攻めたいじゃねぇか」
「ふむふむ、なるほど……」
桜井は、オレの話を真面目に聞いて頷く。
「
「……」
消極的な桜井に対し、同じく消極的な翔平にアプローチする姿勢をアドバイスしてやると、桜井は顔を赤らめて下を向いた。
「やっぱり翔平くんに対しては、攻めなんだね……」
「あぁ、そうだな。ガンガン行こうぜ! てやつだな」
「……! 町田くん、積極的だね! うわぁ、どうしよう。やっぱりそっちの展開の方がいいかなー! 翔平くんが受けか~!」
「おい、ちょっと待て。お前、今、何想像してんの?」
既視感を覚えるやりとりに、オレはツッコミを入れる。すると桜井は慌てて否定を入れてきた。
「違う違う! これは違うの! これはその……、町田くんが『攻めで行った方がいい』って言うから!」
「てめぇ! やっぱりまたオレと翔平でよからぬ想像してやがったな!!」
なんでそう簡単にBL展開に持っていこうとするんだこいつは! お前、正常な恋愛してるんじゃねぇの!? そんなに腐ってていいのかよ!
「どんな風に愛を囁いていくのかな? かな!?」
「囁かねぇよ! 自分の想い人にそんな想像してんじゃねぇよ!」
「あ! そうか! はわわどうしよう! 町田くんもわたしのライバルになっちゃったよ! 渡さない! 翔平くんは渡さないよ!」
「いらんわ! オレにBL趣味なんてねぇっつーの!」
「けどどうしよう! ちょっと見てみたい気もしないでもない!」
脳内お花畑の妄想家にドン引きし、顔を引きつらせて店内を歩く。
結局この後、最初の質問など、話題にはあがらなかったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます