陽ノ下緋陽里と小悪魔コンダクト
「
「……はい?」
アルバイトの時間中、お客さんがいないタイミングで同じシフトに入っていた
「ちょっと気になりまして」
「そんなこと全然ないですよ?」
「そうなんですの? ですけど、ちょっと幼い顔立ちではありますけど、整っていますし、小顔ですし、性格も極めて問題ないじゃないですか」
そこまで褒めてくれるのは嬉しいけれど、そんな異性にモテるような顔立ちはしていない。大樹のようなイケメンならともかく、俺にはそんな要素は全くない。
「ないですって……。幼い顔立ちのせいなのか、よく覇気がないと言われますし……」
自分で言ってて悲しくなる。地味に傷つくんだよなぁ、覇気がないって言われるの。
「そうなんですの? ですけど、こんなに可愛らしい顔立ちですもの。主に歳上の方からは好かれると思いますわよ?」
「た、確かに一部の歳上の女性からは異常にモテてはいますね……」
まぁ、その女性は俺のことを全く異性として扱ってはいないけどね。いつでもどこでも、弟扱いだ。
「実はわたくしも、岡村くんのことはお慕い申しているんですよ?」
「……はい!?」
唐突にそんな告白を受ける俺。流石に冗談だと分かってはいても、美人な緋陽里さんにそんなこと言われたら動揺してしまう。
「顔が非常に好みのタイプなんですの」
「緋陽里さんの場合、ただ単に可愛いもの好きだからそう言っているだけですよね?」
先日だって、俺がドギマギしている姿とミド姉の嫉妬する姿を見たいがために俺の腕に抱きついてきたくらいだ。今回もそのパターンに決まっている。
「あら、それなら確かめてみますか? わたくしが岡村くんをどう思っているか……」
「え? ちょっ! 緋陽里さん!」
前と同じで恋人のように腕に抱きつく緋陽里さん。ウェイトレスの制服ごしに緋陽里さんの豊満な胸が俺の腕に当たり、むにゅりと変形する。はわぁ、柔らかい! 頭がとろけそう……。
「……なんて。岡村くん、だらしないですわよ? それじゃあ
「へ?」
ほんのちょっとの時間で緋陽里さんは俺の腕から離れ、またニコニコしている。
「とっても可愛かったですけどね? やっぱり岡村くん、可愛いですわ」
やっぱりこれは……。やられた! そうだとは思っていたけど! そんなわけないとは思っていたけど!
結局俺は、歳上女性に可愛がられる運命のようだ。ちょっと悔しい俺であった。
けど、役得ではあったなぁ……。大きかった……
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