第3話 子供騙しな夢ひとつ


「お前みたいに弱いやつ要らねぇんだよ!!」

僕は弱かった。

いつも試合には勝てなくてもがいていた。

僕のいた剣道部は弱小で女子の先輩がいなかった。


経験者の男子と初心者の女子。

そういう構図の中で僕は女子キャプテンを押し付けられた。

無駄にプライドだけ高い同級生、やる気のない後輩。

その女子部員を率いて行かなければならなかった。

僕の力不足で女子部員がサボることが日常化していた。

そして男子には「お前なんか無力でこれならいなかった方がましだよな!」

と言われ、"稽古"という名の暴力を受け続けていた。


やっと四人で出れた団体も大将である僕の前で既にチームの敗けが決まっている状態。

個人戦でなんとか勝ち上がっていった。


剣道なんか嫌いだ。


「ここでいい思い出に変えていけばいいよ!」

子供騙しだな。

そんな夢みたいなこと、起きないよ。


あぁ…変なこと思い出しちゃったな。

気づいたら僕の左手首には僕の存在を強調するかのように赤く赤く染まっていた。


こんな僕なら死ねばいいのに…

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