第4話 夢を見た日


 呼ばれたような気がして振り返る彼女。だけど、だれもいない。

「おかしいな。誰か、いたような…。」

 目をこすった世界は薄くぼやけててよく見えない。

「少し進めば景色も変わるよね?」

 彼女は少し歩いてみた。足元は雲のようにふわふわなのに歩きやすくて、もこもこなのにしっかりしてて、不思議な感じだった。

「あ、誰かいる! 」

 一人の女の子が雲の途切れた向こう側にいた。

「こんにちは!」

 その声は届かない。その女の子は首に一眼レフを下げ、景色を撮っていた。そして誰かを待っているようだった。

「寂しそうな子。」

 でも…うらやましいと彼女は思った。理由は彼女自身にもわからないままであったが。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る