不肖の詩

青葉 千歳

月夜に散る花の泡沫の如く

 悠久の詩。


 果ては故郷の懐かしき、


 今は変わりし道を往け。


 縁の袖を振り合わせた


 貴女と共にただ今は、


 月夜に響く静寂を聞く。




 ふわり、障子に迷い込んだ


 影に従う灯火よ。


 惑う心を何故映す。



 はらり、零れたその涙。


 言葉無くしをよしとして。


 重ねた肌に隠すのか。



 人肌に怯え、音も無く。


 貴女は虚ろに震える様。


 然れども寄せた肩に誓う。


 永久の絆は何時迄も。



 悠久の詩。


 果ては故郷の懐かしき、


 今は変わりし道を往け。


 縁の袖を振り合わせた


 貴女と共にただ今は、


 月夜に響く静寂を聞く。




 ひらり見返り、後ろ姿。


 美しきを携えた瞳を知る。


 寂しさを隠して何故笑う。



 消えゆく季節に詩を詠え。


 残りゆく者達は変わらずに。


 行く末遠く、風が哭く。


 永久の絆は何処迄も。



 悠久の詩。


 果ては都の懐かしき、


 時の移りし道を往け。


 縁の袖を振り合わせた


 貴女と共にただ今は、


 月夜に響く静寂を聞く。




 刹那の詩。


 果ては故郷の懐かしき、


 今も変わらぬ道を往け。


 縁の袖を振り合わせて


 貴女と共に見た月は、


 翳りに憂う


 欠けた月日を満たしゆく。




 悠久の詩。


 果ては故郷の懐かしき、


 今は変わりし道を往け。


 縁の袖を振り合わせた


 貴女と共にただ今は、


 月夜を映す水面へと。



 姿を重ね、沈みゆく。

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