教室の魔法使い。

もちもん

僕と時間

みんなは、こんな経験はないだろうか。


気づくとすごく早く時間が過ぎていて、

50分間の授業があっけなく終わること。

「え、もう!?」って。

50分早かったなって。

感じたりしない?

僕は最近よく感じる。

結構頻繁に。


それは僕が授業に集中しすぎたからだろうか?

確かに僕はどちらかというと勉強が好きな方で、結構まじめに授業を受けている方だと思う。だから、成績だって悪くない。

だから、50分の授業が早く感じるのだろうか。


まぁ、そんなことばかりでもないことは確かで。

『自称真面目に授業を受けている』僕だってたまに窓の外をぼーっと眺めて先生に教科書で叩かれたりする。

眠くて眠くてどうしようもない時もある。

特に国語。国語こそ早く終わって欲しいと願う。

苦手教科や退屈な授業は50分間がすごく長く感じるものだ。



「え、もう!?」と思うくらい50分が早いと感じた授業だって。

ちゃんとノートは取っていて、先生の話もちゃんと聞いていた記憶だってある。

今日は数学の授業に当てられて答えを間違えて、それが結構初歩的な足し算のミスだったから恥ずかしい思いをした記憶も残っている。

理科の実験の授業だって、始まりからの準備から終わりの片付けまでちゃんとやった。

体育だって持久走では外周を4周走ったからすごい疲れたし。


好きな教科や楽しい授業は集中しているからこんなに50分が早くかんじるのだろうか。


僕はこの「え、もう!?」という感覚を嫌いではない。

授業もなんだか頑張れたんじゃないかと思えるし。

昼休や、放課後みんなで買い食いするとか、遊ぶ時間が来るのが楽しみだから授業が早く終わる感覚は嫌いじゃない。


でもふと僕はこんなことをおもった。

「もしかして誰が時間を操作して、止めたり早めたりしているんじゃないか」って。

実はクラスメイトにすごい能力者とか魔法使いとかがいて時間を操っているんじゃないかって。

まーそんなのは、僕の空想の世界であって。

現実逃避のための、仮説に過ぎないんだけど、、、。


でも僕はこの「え、もう!?」という感覚を

結構頻繁に感じるもんだから、ちょっと気になって。


僕は時間割の表を用意して、「え、もう!?」と感じた授業に◯をつけていくことにした。

理由は、この感覚が訪れる周期を知りたくて。

集中しているであろう授業と集中しているであろう時間帯を知るためにこの感覚に襲われた時間を集計して見ることにしたんだ。


月曜の1限国語×、2限数学×、3限現代社会×、4限英語、×5体育◯、6限HR◯

火曜日の1限数学◯、、、、。

こんな風に。

これをとりあえず1wkやってみたわけで。


するとあることがわかった。

月水金曜日の5、6限がほぼ◯。

火水木はまばらだが1、2限が比較的◯が多いこと。

これは周期的に起こっていると言えるのだろうか?

それとも僕がただ単に理数系が好きで

文系が嫌手という結果なのだろうか。

まあ周期を知りたいとか思う時点で、どちらかといえば理数系脳なのかもしれない。


「ねえ、それ何?」

隣の席学年イチ美少女と噂の白鳥萌音が声をかけてきた。

僕がつけた◯と×の時間割の表を指差す。

「別になんでもないよ。」

「星野くん国語嫌いなの?罰ついてる。」

「うんまあ。あんまり好きじゃないから早くすぎないかなって思っちゃうんだよね。退屈な時間だなぁなんて。」

「そうなんだ。私は国語得意なほう。」

にっこり笑って言う白鳥萌音。

美人の笑顔はやっぱり可愛い。

「白鳥さんは苦手な教科とかあるの?」

白鳥萌音は、期末テストでトップだった。

彼女は頭がいい。スポーツもできる。

才色兼備とは白鳥萌音のことを言うんじゃないかと僕はおもう。

だからこそきいてみたかった彼女の苦手な教科。

「特にないかな。でも習い事のある日は、星野くんみたいに早く授業終わらないかなって思ってることはあるよ。」

ニコッ顔を傾けて言う白鳥萌音。

その笑顔にドキッとする僕。

「習い事?」

「うん。水泳やってるの、週3回。いつも楽しみなんだ。」

「へええ。」

僕は健全な男子なので不覚にも白鳥萌音の水着姿を想像してしまった。

「じゃあね。また来週。」

と彼女はカバンを持って帰っていった。

僕が密かに恋心を抱く白鳥萌音。

彼女は学年イチというより僕からしてみれば世界イチの美人だ。

そんな彼女と隣の席というだけでラッキーな事実である。

彼氏がいるのかはきいたことがないが、よく男子に呼び出されているのは知っている。

あの才色兼備の彼女ならモテるに決まっている。


月曜日がやって来た。

「おはよう、星野くん。」

「おはよう白鳥さん。」

「一限国語だね。」

いたずらっぽく笑う白鳥萌音。

今日も可愛い。

「早く過ぎればいいのにって思うよ。」

僕は返した。

「今日はきっと早く過ぎるよ。」

「そう願うよ。」

白鳥萌音がふふっと笑った。


一限が始まる。

「起立。礼。」

「お願いしまーす。」


「今日は教科書57ページーーーー。」

先生が話しだす。

僕はノートを開いて黒板を写す。

ノートから黒板。黒板からノート。

視線が行ったり来たり。

「主人公はーーーー。」

先生の声。

集中し始める僕。

ノートから黒板。

黒板からノー、、、

!!


見上げた景色は変わらない。

でもなにかが違う。

僕以外がみんな止まっている。

時計も、先生も、クラスのみんなも。

どういうことだ?

状況がつかめない。

「あ。」

声がしたので振り向く。白鳥萌音と目があった。

白鳥萌音が茶目っ気に首を傾げて僕にいう。

「魔法間違えちゃった。」

「え!?」


その瞬間時間が動き出してた。

「いいかーここテストに出るぞー。」

先生の声。

「まじー?」

クラスメイトの声。


白鳥萌音は人差し指を口につけてウィンクした。

「内緒にしてね☆」


狐につままれた状態の僕。


なんだやっぱり、教室に魔法使いがいたようだ。



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