七英雄と一つの嘘【エイプリルフール特別企画小説】
みずかん
プロローグ
「ふふっ、このパークにこんな言い伝えがあるのを知ってるか?」
「言い伝え?」
「このパークに伝わる、預言書を見つけてね。
預言書っていう物は、この先に起きる事を書いた本のことだ」
「それには、何て書いてあるんですか?」
「パークの危機が訪れた時に、現れる七人の英雄について書かれている」
「英雄・・・、ですか?」
「この世を救う者、って事だな」
「知りたいです」
目を瞑り、タイリクオオカミは思い出すように、暗唱を始める。
「再び訪れた危機に現れる、7つの光、後に英雄と称えられん。
白銀に輝く翼を持つ英知の光
黄金に照りつく太陽の光、
桃源の如く砂漠に咲く可憐の光
紫苑に染まりし水好む光、
漆黒の姿で強さと勇気を持つ勇しき光、
新緑を背負いし誇り高き王の光、
そして、“赤き情熱と優しさを持った流星の光”」
「それって・・・、このパークにいる方と関係してるんですか?」
アミメキリンの質問には答えず、続けた。
「だがな、その書にはこう書いてあった。
“英雄の光、いつぞや、力強しく、破壊の道へと、続かんとす”」
「・・・?」
「いつか、7つの英雄の光はパークを破滅させてしまうかもしれない、って事だよ」
「冗談ですよね」
キリンは笑いを浮かべる。
「いや、そうとも限らないよ」
徐に、古びた本を見せた。
「現に預言書はここにあるからね」
「それっ・・・、どこで・・・」
「森で拾ったのさ...、フフッ。さーて、漫画の続きでも書こうか」
「・・・・」
今私の言ったことは全て嘘である。
かばんに教えて貰った。
年に一度“ウソを付いてもいい日”がある。って。
エイプリルフールっていうらしい。
こんな最高な日は無い。
本は図書館でそれっぽいヤツを見繕って来た。
英雄の話も勿論作り話だ。
これを考えるのに1週間も掛かった。
あの顔は最高に愉快だ。
もちろん、ネタ晴らしはしないよ。
だって今日は、“エイプリルフール”
嘘を付いてもいい日だからね。
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