脳細胞の破壊
@cojucojun
第1話 君の耳に囁く支配者
君が思うより僕は、ずっと君のことを知っていると思うんだ。
今だってほら、ぼんやりしているから、手元にあった筆箱を派手にぶちまけてしまっただろ?君は時々そうやって、自分の世界に入り込みがちだから、妄想が過ぎて手元が動いてしまうんだね?今日のお題は何だったんだろう?ああ、今、外に野球部のエースくんがいたね?今日はあの彼で妄想を繰り広げているの?
僕は知ってるんだ。君がクラスの女の子に話しかけられると、びっくりするくらいの愛想笑いを浮かべているけど、本当は放っておいて欲しいんだよね?
僕は知っているんだ。君が大人しそうな顔をして、本当はプロレスファンだって言うこと。裏アカウントでレスラーのフォローをしていることも。男の振りしてプロレスファンと熱く意見交換をしていることも。
僕は知っているんだ。頭の中は、ほぼ中2男子で、戦隊ものとかアクションヒーローで満載だってことも、プラモづくりは趣味の域を超えて行こうとしていることも、裸の絵をかくためにいやらしい雑誌を隠し持っていることも。
僕は知っているんだ。いやらしい雑誌で火がついた体を慰めるために、毎日体をまさぐっていることも…。
今日、君の体を慰めるのは誰の役目なの?
君は、深夜になるとベッドの上で枕を抱くんだ。抱き枕は、日々、君の彼氏のまねをしてくれるよね?しばらく枕と戯れていると、下腹部が疼きだすんだろ?枕にそこを擦り付けるように腰を動かすんだ。生地がこすれるだけで、そこがウズウズウズウズし始める。だろ?
君の右手は自然とパジャマの裾から素肌をまさぐり始める。最初は乳房の下の膨らみをなぞるように、焦らし焦らしで刺激するんだ。乳首はすでに待ちどうしそうに刺激を求めているくせに、君はそれを無視するんだよね?
脳内で、誰の声を聴いてるの?
その耳の奥で囁いているのは誰?
彼はこういうの?
「まだ駄目だよ?触っていいのは乳輪だけだ…」って。
君はじれったい体を持て余して、脳内の声を無視しちゃうんだ。そのビンビンに固くなった乳首の上に、ついつい指を乗せてしまう。散々焦らされたそこは、その小さな刺激だけでビクビクと体を揺らすね?
君の体を思うがままにしてしまうのはいったい誰の声?
最初は小さな刺激だけで満足していた体が、もっともっとって強い刺激を欲しがるね?指の腹で、乳首の先端をクリクリとなぞっていた指が、今度はつまんでグリグリグリグリこねくり回し始める。するとどうだろう。君はこらえきれず声を上げるんだ。体をビクビクと反応させながら
「気持ちいい…」
って、何度も何度も口にする。体が嬉しがっている証拠だね?
その時、君が口にする名前は誰?
君は最初からずっと待たせっぱなしだった下腹部の疼きに、堪えることが出来なくて、スーッと指をその潤った場所へと伸ばしていくけれど、脳内の声がそれを止めるんだ。
「まだ駄目だよ。まずは、太ももを触って?」って。
いいじゃないか。そんな声なんか無視しても。君の体は君のものだ。君が自由にできるし、その指だって君のものじゃないか。
なのに、なんで、君はその声に素直に従ってしまうんだい?まったくもって理解ができないよ。だって、そこは、ダラダラダラダラと、よだれを流して君の指を待っているじゃないか?刺激が欲しい!欲しい!って、訴えているのに…君はその声に従って、自分の欲望さえ封じ込めてしまうんだ。
焦らしに焦らされた体に、その声がやっと、許可を出してくれたね?
「そのいやらしい液を、自分の指に絡めて」って。
君はその声に、嬉しそうに指を絡めていくんだね?体が嬉しそうにビクビクと動いて、聞いたこともないような声を漏らしたね?
「ねえ、どこ触ってほしい?俺に、どこ触ってほしい?」
声がそういうから、君はかすれた声で小さく答えるんだ。
「クリ…」
なのに声はこういったね?
「どうしよっかな~」
ねえ、君が君の触って欲しい場所を、君自身が触ることに、なんで声の許可がいるんだい?
「ヘンタイ!」って罵られるたびに、なんで君は頬を赤く染めて笑うのさ。
焦らされまくった敏感な部分は、すっかり充血して膨らんでいて、ほんの少しの刺激だけで頂点に達しそうで、
「触っていいよ」
と言われた瞬間、溢れたよだれで、指を滑らせるんだ。
“彼”の名前を呼びながら、叫び声に近い声で
大好き!って。
愛してる!って。
まったくもって理解ができないよ。
そんなに彼がいいのかい?
君を弄んで、罵ってばかりいる彼のことだよ。
え?なんで僕がそんなに君のプライベートを知ってるのかって?
当たり前じゃないか。
僕は君の脳内で飼われている天使だからだよ?
脳細胞の破壊 @cojucojun
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