君の愛の形を僕はよく知っている

ことぽっと

君への愛。


僕を罵倒して。

愛の言葉なんて要らない。

これっぽっちも欲しくない。

僕は君に、罵倒され続けたいだけなんだ。





「き…気持ち悪い…!」


あぁ、君のその怯えた顔を思い出すだけで身震いするよ。

あれは小学3年生の頃だったね。

あのときバッタをあげたのは、良かれと思ってのことだったんだよ?

涙をいっぱい溜めた、負けん気の強い君の瞳。

それでいて懇願するような君の瞳に、僕の全ては奪われた。

全身の血が上昇していくようなあの感覚、今でもよく覚えている。

あのときから、僕は君の虜だった。



それから、僕は君について回るようになったね。

君のあの得体の知れないものを見るような顔。

今も鮮明に思い出せるくらい、あの時の君も可愛かったなあ。

周りが年頃になって、異性と距離を置くようになっても僕たちは一緒にいたよね。

僕は片時も離れず、君のことを見つめていたよ。

君は相変わらず、

「気持ち悪い」だとか「ついてこないで」

なんて言うけど、僕にはわかるよ。

君も、僕なしでは生きていけないってこと。



中学生にもなると、君はうんと綺麗になった。

テニス部に入部した君の脚は、丁度良く筋肉がついていって、更に僕を魅了した。

屋外競技にも関わらず、君の肌は真っ白だ。

あぁ、君に触れたい。

うなじに垂れる汗にすら、僕は嫉妬していたことを君は知ってるかな?


部活終わり、君を待っている僕を見て、思いっきり怪訝な顔をする君を見るのが大好きだったよ。

どんなに嫌がられたって、僕は君を見つめ続けるよ。

だってそれが、僕の生きる使命だから。



そんな風に毎日一緒にいる僕等だったから、付き合ってる、なんて噂もたち始めたね。


その頃から、君は学校に来なくなった。





一週間も君が休むなんて、今までなかったから驚いたよ。

僕はお花と、君の好きなプリンやらゼリーやらを持ってお見舞いに向かった。


そしたら君は、僕の顔を見るなり泣きだしてしまったよね。


「……っんで!!!なんで来るの…?!来ないでよ!来ないで来ないで!!!」


近くにあった本やら花やら枕やら。

僕に向かって容赦無く投げる君。

一通り投げた後は布団にくるまって震えていたね。


そういえば君の泣き顔を見るのは、出会ったとき以来だった。




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