放課後のとりで
ひとくくり
第1話
ぼくらは放課後、毎日「とりで」に集まる。
正直「とりで」の意味はよく分からない。だけどそれは秘密基地みたいなもので、コウタが「秘密基地よりもカッコイイだろ?」って言うから、ぼくらも「とりで」と呼ぶようになった。
ぼくは今日も「とりで」に行く。自転車に乗って、学校でもらったヘルメットをかぶって、カゴにはお菓子を入れた袋。ランドセルは家に置いてきた。宿題は夜にやるつもり。
ぐんぐん加速して、いつもと同じ公園で自転車を降りた。小さくて三角形の公園だ。三つの角のうちのひとつだけ、背の高い木と公園のフェンスで囲まれた空き地がある。広さはコウタとケンキとぼくが輪になって座れるくらい。
ボーボーに伸びた草を手でどけながら「とりで」の入口にしている木とフェンスのすきまを越えると、2人はもう来ていた。
「あ、タイチ来たよ」
コウタがぼくに気づいてケンキに声をかけたけれど、ケンキは体育座りでうつむいている。泣いているみたいだった。
「家出してきたんだ」
コウタが困ったように笑ってぼくに言った。
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