アンテナ

「自分の知らない新たな世界を一つ一つ自分の身で触れて確かめたくなったからだ!」




自分に理数科目はできない




そう言い切った僕に、拝島から、殻に閉じこもるなと言われた。


たしかに、虫や鳥のヒナはいつまでも卵の殻に閉じこもっていてもつまらない。


新たな世界を、自分の身で一つ一つ触れて確かめたくなるだろう。




「俺たちにとって、知らない新たな世界は山ほどある」




そりゃそうだ!


どんなに頭良かったって、どんな物知りだって、知ってることは、世界のほんの一部分だけっていうし。




「その未知の世界を一つ一つ知っていくことが今の俺たちにできることだ!」




そのために俺たちは、勉強したり、人と話したり、現実を突きつけられたり、自力で励んだり、視野を広げたりしている。


よく言われるのは、アンテナを立てて生活することだ。




世の中の様々なことを知る。


流行に敏感になるのもその一つだ。


授業で話をしっかり聞くのもその一つだろう。




「そうだよね、拝島、もっと、世界を知らなくちゃ、殻に閉じこもってないで、色々と自力で様々な物事に挑戦しなくちゃ!」




「そうだ、平泉!」




キーンコーンカーンコーン




チャイムが鳴った。




次は数学だ。

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