ジークとチョコ
もう春だけどバレンタインのif
短編にいれてしまうと、更新通知がこないようなので、数日したら短編のほうに移動します。
◆◇◆◇
私のチョコレートブームはまだ続いていた。
だっておいしいのだもの仕方ない。
「レーナ」
そういって、呼びとめられたので私は立ち止り振り返ると私を呼びとめた人物はジークだった。
「ジーク様ごきげんよう」
「ちょうどよかった、探していたんだ」
ジークはそう言って、私に小さな箱を差し出す。
「これはなんですか?」
受け取ってみるけれど、軽い。
「チョコレートだよ」
「えっ!?」
ジークが私にチョコレートだと! と思ったけれど、こちらにはバレンタインデーなどないんでした。
「君がハマっていると聞いたのだけれど、違ったかい?」
「いえ、違っておりませんが……」
逆バレンタインとかそういうのかと一瞬ドキッとしてしまった……乙女ゲーだったけれど、バレンタインデーはないんでした。そうでした。
「ならよかったよ。フォルトが最近ハマっているようで、私もいくつか取り寄せてみたんだ」
あぁ、フォルト甘党だもんな。最近ジーク、フォルト、シオンでつるんでいるようだし、チョコレートとかこちらにしては流行りのお菓子を食べたりしてるんだと思うとなんだか微笑ましくてクスッとしてしまう。
シンプルに包装されたチョコレートと目の前にいるイケメン……
チョコレートをただ、渡すだけでは、ジークのイケメンの無駄遣いである。
「ジーク様、もう少し恥じらった感じで、控えめに受け取ってもらえないだろうかって感じでお願いいたします」
「えっ? 何のために……もう受け取っただろう?」
「さ……作法です」
「そんな作法聞いたことが……」
「チョコレートは特別なのです、その辺の女子生徒に聞いてみれば一発です。ちょっとそこの貴女」
私は女子生徒を呼びとめる。
公爵令嬢の私が呼びとめたことで、女子生徒は廊下の端によると私とジークに頭を下げる。
「はい、なんでしょう」
「この箱の中には今話題のチョコレートが入っているのですが、ポンッと渡されるのと、よかったら受け取ってもらえないだろうか? と頬を染めながら控えめに言われるのとどちらのパターンでジーク様からいただきたいですか」
「あの、僭越ながらジーク様から頂けるのでしたら……あの、私はどち「んんん」
どちらでもいいと言われそうで思わず咳払いをすると。
「頬を染めながら言われたほうがいいかなと思います」
女子生徒は忖度をした。
「やはり、そうでしょう。ありがとう」
「いえ」
そういうと、女子生徒は深くお辞儀をして走って行く。
ジークは顎に指をやり考察のポーズでじーっと私を見てくる。
「ほら、女子生徒もそういっていたではありませんか」
ジークは冷たい眼差しで、何も言わず考察ポーズのまま私を見てくる。
「うっ……」
ただ、イケメンが私に惚れてる体でチョコレートを渡してくるって言うのを体験するくらいいいじゃないのよ……と思ったのに、これは無理そうだ。
諦めてチョコレートをしっかりと持つと、ジークにお礼をいって終わろうとしたのだ。
ジークの手が伸びてきて私の手から、チョコレートの箱を奪う。
ヤバい、機嫌を損ねすぎてチョコレート没収か!?
欲張りなことは言いません、チョコレートくださいと言おうと思ったのだ。
ジークは小さなため息を一つつくと、シンプルな包み紙を私に再び差し出した。
「レーナよかったら、受け取ってもらえないだろうか?」
頬は染まっていないが、困った表情で遠慮がちに告げられた言葉。
これほどのイケメンにこんな風にチョコレートを送ってもらうことなど二度とないだろう。
私は包み紙をゆっくり受け取りお礼を言った。
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