自動人形メイドのいる生活
プル・メープル
プロローグ・出会い(郵送)
「な、なんじゃこりゃ〜!」
彼の名前は
そして今日、彼の家に巨大な荷物が届いた。高さは彩の身長を超えている。横幅は彼の2倍くらいだ。
「いや、まず、どうやって部屋に入れたんだよ!?」
問題はそこだ。いや、そこではない。まさか、当たるとは思わなかった。『自動人形メイド(仮)』が。
あれは8か月前、多分雨が降ってたと思う。なんか嫌なことがあった気もする。正直曖昧だ。学校の掲示板に『新技術!試使用者募集!』という広告が貼られているのを見つけた。どうも、政府が開発している新技術を日本国内で1名だけが使用できるらしい……。1名のみだ……。
たしかその時、「こんなもん当たったら俺、死ねるわ!」とか言いながら応募したような……。
「俺、死ぬのか?」
やばい……、ドキドキしてきた。
実のところ、応募はしたが内容は知らない。
どうも、広告の過大評価に騙されるスペシャリストです。
だが、これだけ大きな箱。メイドというワード。期待できそうだ!
彩は丁寧に箱を開けていく。どうやら、1箇所を開けば、花のように四方に開くように止められているらしい。彩はその留め具を外す。
「う……わ……!」
開いたダンボールの中から出てきたのは……
「お、女の子……?」
色白で、金髪の可愛い女の子……。目は閉じている。
「ん?……説明書?」
彩は説明書を開いて目を通していく。どうやら、今は電源が入っていないようだ。
「電源を入れるには、付属のネジを背中に取り付け、回してください……か。やって見るか。」
ネジ……すぐに見つかった。なんせ、彩の頭2つ分くらいあるから……。
「お、重い……。」
なんとか背中にネジを取り付ける。ちょうど取り付ける穴のようなものがあった。
「よし……回すぞ?」
部屋には誰もいないのに1人で掛け声をしているあたり……キモい……。
ゆっくりとネジが回っていく。ゆっくりと……ゆっくりと……ゆっくりと……。
もう、随分回したと思うんだが……?
「何回回せばいいんだ?」
「もう充分ですよ?」
「ひぃ!」
彩は驚いて尻餅をついてしまった。いきなり喋ったことに驚いたのではない、声が可愛い過ぎたからだ。ロボットなら、もっとカタコトだと思っていた……。
「はじめまして、ご主人様。」
ロボットは丁寧に頭を下げる。本当にメイドのようだ。
「あ、は、はじめまして……。」
彩もつられて頭を下げる。
「そんな改まらないでください。ご主人様は私の主でいられますから。」
ロボットが慌てて彩に近づく。
「あの……?頭をあげてください。」
「いや……無理なんだ……。」
「ど、どうしてですか?」
ロボットが心配そうに首を傾げる。
「もしかして、体調がよろしくないのですか?」
あわあわしているようだ。人間にしか見えない……。だが、それ故に……
「いや、君が服を着ていないから……。」
ロボットは何故か服を着ていない。初めは当選した嬉しさで触れなかったが、冷静になってみると結構やばい……。
「何か問題がありますか?」
「ま、まさか……君……服を着ない派か?」
「いえ、私の開発者、Ms.P様は『こういうメイドとかに飛びつく奴らは変態ばかりだから、服を着るというシステムは作らなくていいだろう、ハッハッハ!』と仰っていましたよ?」
「いや、そいつ……アホだな……。」
「まぁ!P様をバカにしてはいけませんよ!」
「あ、ごめん……君にとっては親だもんね。」
P様が禁止用語のピー様に聞こえたことはスルーしよう。
「あの……」
ロボットがモジモジしている。
「何?」
「私、『君』ではなくて……AYA001と申します。」
どうやら、彩が『君』というのを名前だと思っていると勘違いしたようだ。
「あ、そうなんだね。アヤ、ゼロゼロイチ。」
「アヤでよろしいですよ?」
「そう、じゃあ、アヤ。宜しくね。」
「はい!よろしくお願いします!」
なんだか、もっと驚く場所があったはずなんだよな。もっとしっかりとした顔合わせがあるはずなんだよな……(アニメ的な観点)。
なんだか、すごく軽い出会いみたいになっちゃったな……。でも、一つだけ言わせて……
「早く服を着てくれよ!?」
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