水月鏡花

月緒 桜樹

艶やかに

華は桜とは言ったもので

全国の誰もが口を揃えて

「桜が咲いた!」と叫ぶ

そんな季節は騒がしくて


花散らしの雨が降った後

水溜まりに映った一輪の

桜は街で唯一生きていた

無惨な花弁を地に残して


花は水の上で揺れている

彼女は深夜に手鏡を持ち

月を映しながら髪を梳く

水花鏡月に触れられない


華やかな姿で振り返った

彼女はちょっと苦笑する

「それ間違ってるよ?」

水月鏡花はまだ艶やかだ

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