第17話 VS不死聖騎士
遺跡を護る番人としての命を受け、時の王に殉じた形で守護者となったのだ。
当然意識などは既に無い。しかし、己の身体を無理矢理操作される苦痛は精神の奥深く、
己の使命を果たせぬ苦しみはやがて憎しみに変わり、静かに
積年の怨みが暴発した結果、クロナガは消滅した。
すぐそばにいた変態は、変態細胞による超回復を行いながらも、身体能力の2/3が失われた。
なぜか?
破壊ウィルス・H-508。
超古代文明に於いて禁忌とされた生物兵器だ。
このウィルスは細胞自体を捕食するのはもちろんのこと、遺伝子を傷付け、癌細胞を引き起こし爆発的に増殖させる。
腸内には免疫細胞の70%が存在する。
キノコが免疫力を高めるという話は聞いたことがあるだろうか。
あれは極微量の毒を取り込むことにより、免疫細胞を賦活させているのだ。
変態は普段から腸活を怠らない。
だからこそ、変態的超回復が施されるのだ。
ちなみに変態がインフルエンザの渦にいたとしても、逆にインフルエンザウィルスを栄養として生きていける程だ。
その変態的細胞が、一瞬にして2/3が破壊されたのだ。
変態は考える。
次の攻撃は受けきれない、そして攻撃スピードは敵わないという事実。
そこまで考えていた次の瞬間、解放された
この間00000.1秒。
ちなみにこのウィルス。一代限りのウィルスであり、対象が消滅すると共に対象細胞と共に大気に結び付くと無害化される。そうしないと古代人すらウィルスにより絶滅してしまうからだ。
その作用が変態に生をもたらした。
一代限りの同じウィルス。
そう、変態はたった一度の攻撃により、変態細胞にウィルス耐性を身に付けたのだ。
初撃対象が変態ならば、変態は消滅していた。
クロナガへ発せられた怨みのこもった過剰攻撃。
そこから漏れたウィルスにより変態は一命を取り止めたのだ。
しかし
超古代文明により開発された永遠に錆びない剣を高速で降り下ろしてくる。
キィン
キィンキィン…
「貴様は…強者…か?」
降り下ろされた
カパ
ボゥンッ!
ドリフのコントのように、顔が炭だらけになる変態。
「ふぅむ…」
ドガン
バゴン
ブグン
ベコン
その攻撃を、変態はあごに手を当てながら考える。
軽いのだ。
先程ふいに食らった攻撃に比べ、高速は『遅い』のだ。
高速スキップも単なる移動速度なのだ。さらに攻撃もまるで子供がじゃれてくるようなものだ。
変態は考える。
しかし、ウィルスが攻撃の主体であることには気付いていない。
恐るべきは変態細胞。
戦う度に超変態を遂げていく。
変態は自分が超変態であることに気付いていない。
ただ、己の身体に絶対の信頼をおいている。
この世界に受肉した時、この身体だったからこそ、ここまで生きてこれたのだ。
肉体と心は=ではない。
世の中のほぼ全ての生物はこの事実に気付いていない。
肉体は、心を受ける受け皿であり、この世界に存在する間の借り物なのだ。
混沌の世界から魂は派遣され、この世界で肉体を借りる。
肉体に感謝する。
変態は呼吸をするように肉体、そしてこの世界に感謝している。
言葉で表せば、だ。
心が、そう感じているのだ。
そこまで考えて、変態は考えるのを止めた。
段々、
痒さ、これも立派な
痒いところに手が届かないもどかしさ。
例えるなら、ピーパリだ。
サクサク軽いスナック感覚のオヤツ的な刺激。
たまにはオヤツも食べたいものだ。
「直腸ォ!」
モリモリモリモリ
変態の肛門から直腸が競りだしてくる。
先にあるカイゼル髭をヒクヒクヒクヒク震わせている。
ピト
カイゼル髭が
そしてそのまま、直腸と共に
チクチクチクチク
腸内で
「うむ」
心地よい痒さに変態はご満悦。
まだ見ぬ強者を求めて変態はまたスキップを始めた。
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