ゲーム

「...?あれ...、ここは?」


「あっ、プリンセスさん!」


気付いたら見知らぬ平原にいた。

私に声を掛けたのはジェーンだった。


「ここどこ?」


「さあ...、でも、あそこに2人...」


彼女が指差す方向を見る。


「ふぁあぁ~...」


大きく欠伸をする白と黒の...、ジャイアントパンダと、きょとんとしているイリエワニの姿があった。


「あの、ここどこか知ってますか?」


何も知らないプリンセスが尋ねる。

しかし、二人からは反応がない。


「何か...、変ですよね?」


ジェーンは不安な顔を見せる。



突然、それは起こった。

寝ているように見えたパンダが立ち上がった。


「...?」


全く持って理解できない。

すると。


「...あっ!」


「ジェーン!?」


隣を見るとジャイアントパンダが馬乗りになり、無表情のまま彼女の顔面を殴る。


「いたっ...やめて...」


「何してるの!!」


彼女を助けようと向かった瞬間だった。


「はっ...!?」


イリエワニに腕を捕まれた。


「離してっ!」


抗議には耳も貸さず、力ずくでプリンセス

を放り投げた。


「うっ...」




「...やっ、やめて!!!」


顔を殴られたジェーンは涙を見せながら、

ジャイアントパンダに首元を捕まれていた。

彼女も相変わらず無表情のままだ。


うっすらと彼女の目に光が宿った。


「ぐあ゛っ゛...」


思いっきり強烈なパンチを鳩尾の辺りに食らった彼女は、バタりと倒れてしまった。


「ジェーン!!」


咄嗟に立ち上がった。イリエワニが立ち塞がる。


「何でこんな事をッ!!」


悔しさで涙を流しながら、そのか弱き右手を前に突き出した。


しかし。


片手でイリエワニに止められる。

そのまま


「いやっ...!!」


背負い投げされ、地面に叩きつけられた。


「痛い...」


彼女は上から覗き込む。

鋭い歯が見える。

本能的に、私は食べられてしまうと、そう思った。


「...っ」


目を開けると、腕を噛み付かれていたのは

ジェーンだった。


「...ジェーン」


「プリンセスさん...、どうかあなただけは...

無事に帰って...」








私は...私はっ...







「...チッ」


1人乗り男が舌打ちした。

機械から出てきたカードを取る。


「やっぱペンギンは所詮雑魚か...。

つか、ゲームシステムがクソ過ぎなんだよなぁ。NPCマジで自重しろっつーの...」


出てきたカードを手に取った。


「おっ!レアキャラのチーターやん!

使えるぜこりゃあ!」


嬉しそうに帰って行った。


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