汚染された純心

「やあ、かばん」


僕は自分の部屋で寝ていたハズ。

だけど、何故かタイリクの部屋にいる。


「博士から聞いたんだけど...、

かばん、セルリアンに食べられてから、男の子になったんだよね」


美味そうな獲物を見つけた様な目で僕を見る。怖い。


「私達とどう違うのか、確かめたい」


「申し訳ないですが、それだけは!」


僕は咄嗟に立ち上がって逃げようと出口に向かったが…


「どこ行くんですか...、タイリク先生の頼みを断るなんて、言語道断ですよ」


タイリク信者だ...。クソ。


「なあ...、1回きり見せてくれれば、それで満足するからさぁ」


「お断りさせていただきます…」


僕は壁際に寄った。


「キリン」


そう呼ぶと彼女が僕に寄り取り押さえた。


「ああっ!離してっ!」


「ダメですよ」


「連れて来い」


ベッドまで運ばれる。

フレンズの時より自分の力が落ちている気がする。サンドスターの影響があったからか...


博士は言っていた。

“フレンズといえど、元は動物...

オスの匂いを嗅ぎつけるヤツもいるのですよ...”と。


サーバルちゃんとの約束が...


しかし、キリンの力は強く僕一人じゃとても刃向かえない。


「ふふっ、いい顔してんねぇ...」


「ヤギね...」


2人の目が怪しい。

このままでは...


「サーバっ...ぐっ!」


タイリクに手で口を塞がれる。


「キリン、やれ」


黙々と僕の服に手をかけ脱がす。


「んんっ!?」


その動作は素早い。予行練習でもしていたかのようだ。今僕の下半身は何も身に付けていない。

まずい。


「なるほどね」


タイリクはにやけながら目線を向ける。


「先生どうします...?」


そして、彼女は僕の方を見る。


「いい顔が見たい...、見せてくれるかい...」


吐息混じりに囁く。


「ハァ...!や、やめてっ!」


キリンの手によって包まれ、上下に動かされる。


「いいっ...やめっ...」


「そうだ...、ちゃんとしっかり見ないと...」


「あっ...」


上着も脱がされる。


「や...、やめて...」


「キリン、私の番だ...」


「わかりました」


タイリクは僕の上に跨ぐように乗ると

ネクタイと上着のボタンを外した。


こうなるんだったら服の脱ぎ方を全フレンズに教えるんじゃなかった。

そう思っても後の祭りだ。


視界に入る、僕の前のものとは違う。

その光景に矢で心臓を撃ち抜かれたような衝撃を受ける。


「...こういうのが好きかい?」


どんどん僕の身体に密着させる。


「ダ...ダメ...です...!」


「いい顔だね...」


彼女は尻尾を振る。


「先生、私にもいい顔を見させてください...」


「ああいいよ...」


キリンは上半身を全て脱ぎ払い恥じらいもなく顕にさせる。そしてタイリクと同じようにする。


「先生の方がやっぱりすきですか...」


好きとか嫌いとかじゃない...

自分が嫌になってくる。


情けない。情けなさすぎる。


自分の意思も伝えられず、

女子二人に弄ばれる。


それに身体が愉快感を覚える。


(ごめん、サーバルちゃん...

ごめん...、サーバルちゃん...)


「キリン、お前は下をやれ...」


「はい...」


タイリクは僕の横に添い寝する。


「いい顔だね...、いい顔だよ...」


何度も顔にキスされる。

挨拶と言うべきか。


そして下半身から体験したことの無い感覚が伝わる。ザラついててぬめっとしていて...、気持ちがいい


「あっ...はぁ...」


身体は我慢が出来ない。

サーバルに捧げると決めていたのに。

僕は最低だ。


「うっ...はあっ...!」


一気に快楽の波がやって来る。

抑えきれない。


「はぁ...、ひぇんへぇ...」


「かばんの...」


僕は思ってなかった。

口から白い液を垂らすアミメキリンとタイリクが舌を合わせ液を求め舐めあってる。


僕は何も言う事が出来ない。


「いいね...」


「はあ...うれひいです...」


「もういいや...」


彼女はキリンのスカートを脱がす。

そして自分も上着だけ残して脱いだ。

タイリクはまた身体を密着させた。


(...い、今のうちに)


「おっと...」


「どこ行くんですか...」


二人が僕を見つめる。


(なんで...)


両サイドから挟まれる。


「何でそんなに嫌がるんだい...」


「いいじゃないですか...」


そして、両側からの接吻。

僕は罪悪感が増していった。

死にたい。


意に反して僕の身体は彼女達を求める。


「もう...やめてください...」


「ホントは嬉しいんだろう?」


タイリクの声が悪魔の囁きのようだった。


「もっと嬉しくしてあげようか...」


「やってくださいよ、先生...」


「うぅ...あぁっ...」


僕の身体の一部が彼女と一体化する。

どうしてこんなことに。


「あはぁ...初めてなのに...、

初めてじゃない...感じだ...っ...」


(いやだ...、出したく...ない...)


途中で彼女は姿勢を変えた。

両手を取られ、上半身を引っ張り起こされる。


「おいで...」


その声は僕の耳には優しく聞こえた。

もう僕は汚染されている。


M字に足を広げた彼女に僕は抱かれる。

真っ平らな僕の胸に柔らかい感覚が伝わる。


「我慢しなくていいよ...んっ...」


「それとも...足りませんか...?」


背後のキリンが僕の頭を身体で受け止める。彼女の体温をひしひしと感じる。


「なんで...こんなことするんです...」


「恥ずかしがってる顔...、最高だよ...はぁ...あっ...」


「刺激が強すぎましたかね…」


キリンはそう言いながら僕の頭を愛撫する。


刺激が強いとか、そういう事じゃない。

僕はこんなこと...、こんなことは...


「んぁっ...いっ...ぁ...」


僕は情けない声を出す。


「はぁ...、いいよぉ...!」


身体は言うことを聞かない。


「いぁ...なっ...あぁ...」


再び来た快感と、喪失感

僕は、サーバルとの約束を破ってしまった。彼女の体内に出した。悔しくて堪らない。


「あっ...、はぁ...はぁ...、あはっ...はははっ...」


彼女は蔑むように笑った。


「かばんとの子供が出来たらどうしようか...、サーバルが怒るだろうな、あははっ...」


「先生、意地悪ですね...、ふふ」


「....」


僕は精神的ダメージの方が大きかった。

こんなことって。こんなのいじめだ。

僕に対する、陵辱だ...。


「次は私ですよ...。

そう言えば、かばんさん、先生のは羨むように見てましたけど、私はそうでもないんですね」


「...素直に言った方がいいぞ?」


再びタイリクが僕の耳の近くで言う。

僕はもう、頭が真っ白だった。


「そんなこと...ないです...」


力なく、敗北を認めた者のように答えた。


「ふたりとも...かわいいし...すてきですよ...」


もはや、僕は死にかけのセミだ。

たぶん目が死んでいる。

彼女達は互いに微笑んだ。


銃口を常に頭に突き付けられているような、恐ろしい感覚だった。

彼女達の一言一句が脅し文句のように聞こえた。


二人は僕の前に座る。


それを見せ付けるかのように、腕を上げる。


「どっちも...ならさ...」


「存分に甘えちゃってくださいよ...」


本当は泣きながら、この心情を誰かに訴えたかった。


だけど、それが出来なかった。


無防備に二人は仰向けになる。


僕はやらなければ、恐ろしい事になるのではと思った。


片方の手で別々の胸を掴み、マッサージもどきの事をした。

舌を使って、舐めたりもした。


二人はお互いに顔を向け、吐息を掛け合う。


「はぁ...せんせぃ...すきですよ...」


「あみめぇ...あいしてるよぉ...」


そう言って、堂々とキスする。

僕は自身どうも思わない。


身体はどう思ってるか。

貶したいと思っているらしい。


「アミメキリンさん...

やってあげます…、いいですか...?」


「ふふっ...これでお相子ですね...」


タイリクの方に目を向けた。


「じゃあ...、私は...」




「んっ...あっ...あぁ...んんっ...」


彼女は顔を紅潮させていた。

僕のせいでもあるが、タイリクが彼女の

胸をもみくちゃにしている。


...どうでもいいや。別に。

僕はサーバルとの約束を破り、

弱い心のせいで彼女らの口車に乗せられ、挙句、自らまでその行為に手を染めた。


僕は罪人だ。


「....いいですか」


「んぁっ...いい...!いいっ...!

やって...!!」


僕はまた、罪を上塗りした。

彼女の中に流れ出た液体の感覚が、罪悪感を増大させた。しかし、崩壊した僕の心情に訴える物は無い。


「ハァ...ハァ...、すごいですね...」


彼女は恍惚としていた。

僕は全てを搾り取られ、後ろに倒れるように仰向けになった。


「...ハァ」


大きな溜息を吐いた。


二人は僕の顔を上から覗き込むようにして見た。


「...いい顔だったよ」


「...可愛いですね、かばんさんって」


僕は二人にまたキスをされた。

もううんざりだ。

全てを悲観し、諦めて、目を閉じた。






「...ちゃん!かばんちゃん!」


僕は彼女の声で目を覚ました。


「サーバル...ちゃん...」


彼女に合わせる顔がない。

曇った顔をみたサーバルは、同情したように悲しい顔を浮かべた。


まだこの姿になっても、彼女は僕のことをちゃん付けで呼んでくれる。


「...ごめんね、気付いてあげられなくて...。痴女2人に強姦されて辛かったよね...」


涙を浮かべた。


「あの二人は...」


「殺してあげた。

だってかばんちゃんの童貞を奪ったんだもん。死刑に等しいよ」


単刀直入に放たれたワードに僕は言葉に詰まらせた。


「ツメで刺し殺して火を放って灰にしたよ!骨は私が跡形もなく踏み付けてやったから!」


「....」


彼女の行いは正しかったのだろうか。

僕は何も言えなかった。


サーバルは僕に抱きついた。


「かばんちゃんは、私のモノだから...誰のものでもない...」


「サーバルちゃん...」


「だいすきだよ...」


彼女は目に涙を浮かべながら、僕にキスをして共にベッドへ倒れ込んだ。


彼女の目がサンドスターの輝きを放ったのは、幻影なのだろうか。


それとも。

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