2/11日(日) 赤保留は50%の夢
2/11日 日曜日
『蛍の光』が流れる店内。客もまばらになった店内で、大友晃司がパチンコを打っている。
「ラブ イズ オーバー悲しいけーれどー 終わりにしようーキリがないからー」
上皿の弾が台へと飲み込まれていく。晃司は生気を感じない目で、玉貸ボタンを押して、500円分の玉が上皿に補充される。残高はすでに0。
「2万円までは楽しい。3万突っ込んだ辺りからが目が覚めて、勝負って腹を括る。4万いったら『そろそろ当たれや!』って苛ついてくる」
あっという間に上皿の玉がなくなる。
晃司、ドル箱の中から薄い茶封筒を取り、中に入っている1万円を取り出し「私はあんたをー忘れはしーなーい」とつぶやきながら、サンドへと突っ込む。
「5万円突っ込んだら『当たらなくてもいい。激アツ見せて!』ってなるんだよなぁ。見れたら『ちゃんと抽選してたんだ』って納得出来るから。だからお願い、激アツ来て!」
店員が腰に付けたリモコンを操作し、サンドを開いて紙幣を回収していく。
「まだ打ってるだろーが! サービス業だろうが!」
晃司は店員を全力で睨みつけるも、店員は慣れた動きで次々と紙幣を回収していく。
「大体ね、あぁいうリモコンで遠隔してんだろ?俺に当たりがこないようにしてんだよ。知ってんだよ俺は。帰ったら爆サイとかに「極悪店」って書き込んでやる」
残り10分で遊戯終了を告げる場内アナウンスが流れる。
「マジかよ!そんな時間なわけ!? あぁ、初回の店で突っ張るんじゃなかった…おぉ!赤保留キタ!」
晃司の台が爆音とともに、激しい発光を繰り返す。晃司は前のめりになり、期待に満ちた表情。手にしていた茶封筒を握り潰す。
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