世界最強の魔術師が学園最弱のテクナートになった訳
瑠奈
第1章 一話 『最強で最弱のテクナート』
アルバス王国は、魔術師の国としてバルト歴304年に栄えた大きな王国であった。
その中でも最も裕福とされ、国中心都市として世界一発展した大きな街『テオラス・・・・』、そこには世界中の魔術学園で首席の生徒が集まる学園が存在していた。
その学園の名は『エルグランテ学園』歴代より初代学園長から歴史に名を残す程の生徒を選出する名門学園だ。
この学園に入るには二つの診断テストを行い、その診断テストで一定値以上の成績出さなければならない。
まず一つ目が、生活魔術の術式を使える数が学園の定めた規定値を越している事
二つ目は、自らが所持している魔術剣スペクターを完璧かつ確実に操作が出来る事
この二つが学園に入学する為の診断テストである。
そして、入学後その診断テストで出た結果をもとにして生徒一人一人をランク付けがされ、初登校の日に診断テストで出たランクのクラスに配属される。
それが、この世界一の学園『エルグランテ学園』が取り入れた、生徒ランク制である。
ランクは4段階あり、
♦1 アグナムート
学園内で成績上位者が配属されるクラス
♦2 アーサー
学園内で成績中位者が配属されるクラス
♦3 ステファ
♦4 テクナート
『ステファ』『テクナート』は、合同クラスとなっている。
成績下位者が配属されるクラス
その中で最も最弱なテクナートは、魔術師の学園で悲惨な差別を受けてテクナートの9割は学園を退学してゆくのだった。
だがその中で、ただ一人差別にも応じず。
堂々と学園に通う生徒が存在した。
この物語は、テクナートの生徒の物語である。
その生徒の名は_______ルーズ=アルセン
♢♦♢♦
『魔術師』。
自らの個性に応じて使える能力が異なり、自らの意志や魂によって具現化する魔術剣スペクターを使い敵のせん滅を目的として働く役職である。
かの力は凄まじい威力を持ち術式解放地域でしか戦闘術式の展開は禁じられている。
旧アルバス王国で魔術は誕生した、そして長い年月が流れ魔術は世界中の国々へと広がりこの世界は魔法文明を築き上げた。
これが、アルグランテの書『第一章 魔術の誕生』である_____
アルセンは自室の窓から見えるテオラスも街並みを片手で頬杖をつきながらあからさまに、不満気な顔で見つめていた。
冬が終わり春の暖かい季節風が大きく開かれた窓から入り込みアルセンの体を包み込んでゆく
「もうそろ、春だな」
「そうですね。お兄様」
「なあ、ルナ」
「なんでしょうか?」
ルナは窓の外を気だるそうに見ながら話し掛けてきたアルセンの事を首を傾げながら見る。
「俺が世界一の魔術師だったらどうする?」
「世界一の魔術師ですか?」
「ああ……」
「そうですね、ルナはお兄様が悪い魔術師でも世界一の魔術師でも大好きです」
「そうか、なら良かった。」
「何か、あったのですか?」
「いや、何もないよ。」
「本当ですか?お兄様は、昔から悩み事を一人で抱え込んでしまいますので」
ルナは心配そうな目でアルセンの顔を見つめる。
そんな、ルナの表情を見たアルセンは満面の笑みで口を開いた。
「ははは、心配無いよ」
「ならいいのですが……」
「さあ、そろそろ時間だ部屋に戻るんだ。」
「分かりました。では、良い一日を」
そう言い残して、ルナは銀髪の綺麗な髪を揺らしながら右眼を閉じてウィンクした後
少しの笑みを浮かべながらアルセンの部屋を後にした。
アルセンは未だ、ルナの甘い香りが残った小さい部屋でただ一人、窓から差し込む眩しい太陽の光を見ながら呟く
「良い一日……ね。」
今日で学園の長い長い冬休み期間が終わり新しく三学期が始まる。
この学園の冬休みは三ヶ月あり、自らの故郷へ帰る者、友人と何処か遠い国へ旅行へ行く者、など
様々な冬休みの過ごし方があっただろう。
俺はと言うと、テクナートだからか友人と言った友人はおらず
一人、学園内に建っている寮で三ヶ月間ダラダラと術式の本や、攻撃魔法についての本を読んでいた。
ページ数は約100000ページ程だ。
アルセンが窓の外に目を向けると、学園の制服を着た生徒達が背を伸ばしながら優雅に歩いている。
学園では、学園に通う生徒は優雅に華麗に生活するなどと言った基本的な生活習慣を入学してすぐに叩き込まれる為、叫んだり暴言はいたりする生徒は一人もいない、それに加えこの学園には男子生徒がおらずアルセン以外が女子と言うアルセンにとってはとてつもなく厄介な学園になっていた。
(アルセン……アルセン……)
突然、アルセンの脳内に低い声が響き渡る。
簡単に説明すると、電話で通話をしている様な感覚___『対話術 デイズ』自らの心で想像した言葉あるいは場所などを送りたい時、送りたい人物に送ることが出来る魔術であるが、未完全な状態で送ろうとすると第三者へ情報が漏えいしてしまう可能性がある。
「なんだ?シリウス」
この『デイズ』を使い脳内に直接的な接触を行うには、高度な技術を必要とし、この魔術を使えるのは国家魔術師と十大魔女政府テオルタのみとなっている、事実上は____
(計画は進んでいるのか?)
「ああ、今の所は順調に進んでいる。」
(なら良かった。)
「で、なんでこんな時間にテレパシーなんて?」
(それが、我々国家魔術師団の本部に謎の手紙が届いた。)
「内容は?」
(特に書いていなかった。ただ、差出人の所にDとだけ書かれていた。)
アルセンは、その言葉を聞いて面を食らった表情でルーズに聞き返す。
「Dってまさか、ダーロ魔術師団か?」
(ああ、まだダーロ魔術師団と決まった訳では無いがその可能性は高い)
「そうか……」
(そろそろ、魔力の限界だ、切るぞ)
「分かった。何か情報が入ったら連絡をくれ」
(……了解)
『ダーロ魔術師団』とは、バルト歴295年に起きた黒魔術師の反乱を先頭に立って指揮した魔術師団だ。
極悪非道な魔術師ばかりを世界中から搔き集められ結成されており、主に国家魔術師の虐殺や反乱を目的とした魔術師団だ。
20年前に国家魔術師団によって滅ぼされたとされていたが、ここ数年再びダーロ魔術師団の再結成されたと言う噂が広がり始め街の魔術師組合が日夜、街の見回りを行っている。
「……なんで、こんな時にあいつらが?」
アルセンの脳内で疑問が生まれた。その疑問は、解くにも解けない疑問だったのかもしれない。
カーンカーンカーン
学園の校舎の上にそびえ立っている大きなベルが鳴りテオラスの街に響き渡る_____
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