情報源はネットから


 1月31日、前日が雨で出撃は中止となり、近くのコンビニへ弁当を買いに行った程度の外出にとどまった。

西雲春南(にしぐも・はるな)は近くのコスプレ専門店でバイトをしている以外で外出するとすれば、コンビニかゲーセンである。

大抵の欲しいと思う物は通販で済ませてしまう程、人見知りな部分が強い――と思われるが、そうだったら対人のバイトをする事はないだろう。

 この日は晴れているのだが、バイトの予定も入っていないのでノートパソコンの前で記事の作成をしていた。時計アプリは午前11時と表示されている。

「あの時のパルクール、タイトルを見そびれていたけど――」

 パソコンで検索ワードを絞って、ARパルクールを検索するのだが――その数は10を超えていた。

ARゲーム専門サイトではないと発見出来る確立も難しいので、大手のサーチよりは利用されるケースが多い。

「これかな――?」

 タイトルはパルクール・ランナーズと書かれている。しかし、本当にそのタイトルなのかは疑わしい。

非公式の名称と言う可能性があるが、まずは情報を仕入れる為にも説明をチェックする事にする。

他にもARパルクールは確認出来たのだが、それらは動画で見たのとは若干違う。特にスーツ着用は共通していても、ロボまで投入していなかった事にあった。

ロボが決定的となり、パルクール・ランナーズを発見する。しかし、本当にこれで正しいのかは――まだ疑わしい。

 自分も過去にまとめサイト関係に詳しかった事もあり、情報の鵜呑みは厳禁である。

それを踏まえても、この記述には何か――微妙に細工がされている可能性も否定できない。

「別のサイトも見てみようかな」

 今は記事作成が重要なので、気になる部分はあるのだが――それは現状では様子見する事にした。

下手に調べても重要な情報が出てきそうにないのと、現在は自分のサイトに掲載する記事を作る方が重要と判断した事にある。

 別のサイトで発見したのは、ランダムフィールド・パルクールだった。どちらにしてもタイトルにパルクールが存在していたが――。

これが意味するのは一体何なのか? 更なるファンによる通称ではパルクールの文字がなかったが――逆に商標権侵害とか言われそうな為か、メジャーではない。

「ランダムフィールド?」

 ランダムと言う単語を見て、頭をひねりつつ考える西雲だが――特に思いつくようなネタがない。

ネタの枯渇――の様なものではなく、単純に文字にしづらいと言う事だろうか?

「とにかく、これを何とかして分かりやすくする為には――」

 思う所はありつつも、結局は記事を作らないとサイトのアクセス数的な事情もあるので――何とかして記事にしようと作業を始める。

しかし、これを自分の言葉で説明するのも一苦労だ。ウィキ等のコピペやURLを参照させる方向で問題ないのでは――とも言われるが、それではまとめサイトやアクセス数稼ぎのアフィリエイト勢力と変わらない。

自分の言葉を使って、ある程度開設する事こそが――ゲームをプレイするきっかけになる、と以前の事件から学んだのだ。



 ランダムフィールド・パルクール、ランダムに生成されたコースを疾走するパルクールと言うべきか。

他のARパルクールと同様に、危険なアクロバットを含めた行為は一切禁止。下手をすれば怪我では済まないからだ。

 ルールは単純明快で、ガジェットに表示されたゴール地点を目指す事が勝利条件。単純にタイムを競うのではなく、スコアと言う概念もあるらしい。

生成されたルートで難易度の高いコースを選択する事、それがハイスコアの道らしいが――危険なコースを選択して怪我をしたら、運営はどうするつもりなのか?

基本的に1人でのソロプレイがメイン、マッチング方式で最大6人同時ノレースになるようだ。店舗によってはタッグ形式のルールも取り入れられている。

 ゴール地点へ向かう為にどのようなルートを使うのも自由、その一方でマップに表示されない危険なフィールド――工事中の道路、通行止め、立ち入り禁止ゾーン、小学校等の通学路――。

これらのコースは使用不能としてガジェットでも警告メッセージが出る。メッセージを無視して進む事は、ペナルティとなって減点対象となるようだ。

警告は3カウント、それを過ぎると失格判定になる事もある。事故が起きてからでは、何もかもが遅いが――コースには中継用カメラやドローンも使われていると言う。それらを監視用途で使うのかもしれない。

その為、基本としては障害物のない直線コースを走る事が多い。電車の線路に近いイメージだろうか? 障害物は多少あるだろう。動画サイトで見た動画でも壁の様な物を飛び越えたり、ジャンプ台も見かけた。



 危険なアクロバットが禁止されている一方で、運営サイドから一定の安全が保障されている物は採用――と言うのも変な話か。ロープアクションやトンネルと言うのも動画では発見したが――。

それ以外にも相手プレイヤーに対する故意の妨害や殺傷行為はライセンスはく奪もあるようだ。はく奪と言う事例は一つもなく、現状ではライセンスの凍結を数カ月のケースが多い。

さっきも書いたかもしれないが、事故が起きてから出は全てが遅い。ネット上ではARゲームが大事故を起こすとか――そう言った風評被害だってある。

ARパルクールだったら、それこそ本来のパルクールのブランドイメージが損なわれる可能性が高い。考えて見れば、世界的な競技大会へ採用される可能性も――と言う記事はあったか?

 あくまでもストーリー的な物はなく、単純にゴールを目指すと言うルールが用意されている印象がある。

RPG系やアクション系ではないのでストーリーは不要と考えている可能性が高いのだろう。

リズムゲームにストーリー性を持たせて、成功した事例もあるが――パルクールでストーリー性を持たせるとして、どのような物が良いと思うのか?

ニンジャを目指す、パルクール日本一を目指す、あるいは――。色々と思いつくが、いまいちぱっとしない。

ARゲーム自体が異世界転移とまとめサイトでも取り上げられていたが、それを逆手にして実は異世界に飛ばされた的なストーリーでもよいかもしれないが――。



 ネット上ではパルクールと無関係に近いのに混同しやすいのは――と言う話もあった。

パルクールの名称を使わない通称も提案されたが、商標関係で没になったという話らしい。

「ここまで打ち込んでも――上手く説明できたと自信を持てない。やはり、ネット炎上を意図的に避けようと――」

 西雲は自分なりに記事を作っていくのだが、無意識にネット炎上しないような言い回しや特定用語を避けているような記事を見て、色々と違和感を持つようになる。

その後、何度かリテイクしていく内に30分は経過していた。色々と不安な部分はあるのだが、ネット上の反応を見ないと分かりづらい部分もあるのも事実だろう。

結局――数回のリテイクで記事を公開し、様子を見る事にする。公開した時間は、丁度お昼時の午前12時になっていた。

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