一人

ピクピク


「……」


ブルーオークを文字通り、虫の息にするまで殴り続けたレイ。浴びた鮮血で真っ赤に染まった顔と服。そんな、彼女の服を見て、「……洗濯で綺麗に落ちるかしら」と頭を悩ませているテレサさんも、また化け物である。


「……助かった。本当になんとお礼を言っていいやら」


聖戦士フリックさんが深々と頭を下げる。


「気にしないでください。ところで、このブルーオークって懸賞金……」


「ああ、確か掛かっていたと思うが」


っしゃーーーーー。


魔王軍の手下には、懸賞金がかけられている場合が多い。突き出せば、相応の金が貰える。


「フリックさん、レイ、テレサさんを連れてこのブルーオークを突き出してもらえますか?」


「そんなのお安い御用だ」


そう言って、3人は獣人を連れて、外へと出て行った。


「……」


ガチャリ。


内側から鍵を閉めて、つかの間の休息。なんだかんだ自分の部屋とギルドが一緒なので、1人の時間などほとんどない。


「さて……」


隣の休憩室で、ニーナの様子を見てくる。


案の定、あられのない格好で、「ゔーーっ」ともがいて呻いて。これは、当分起き上がれない状態だと判断した。


階段を上がって、2階の部屋に入る。レイとテレサさんが帰ってくるのも、あと数時間ほど後になるだろう。


「1人……か」


……


「ごま」


つぶやいてみた。


特に、返事はない。


「ごま! ごまーーーーーー!」


叫んでみた。


当然、1人だから、返事はない。


「ごまごまごまごまごまごまごまごまごまごま! ごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまぁ! ごまごまごままごまごまごまごまごまごまごまごま! ごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまぁ! ごまごまごまごまーーーー! はぁはぁ、ごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごーーーー! いかん、まごになっちゃってるーーーーーーー!」


はぁはぁ………


「ごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごま! ごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごまごーーー! あー、やっぱりまごになっちゃってるーーーーーー! なっちゃってるーーーーーーーー!」


はぁはぁ………


「ふぅ」


ストレス発散終了。


やっぱり、たまに1人の時間が………


パチパチパチパチ。





















窓からテレサさんーーーーーーーー!?

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