俺の妹は愛されている

 昨日はどうなるかと思ったぜ。いきなり彩菜がいなくなるんだからな。まぁ、みつかったから良かったんだがな。

 やっとごろごろできる。この時間を楽しまないとな。午前中は深夜アニメでもみるか。そう思い俺は、パソコンを開きアニメをみる。最近は時間がなかったためみることが出来なかったが、やっとゆっくりした時間が出来た。アニメを見ようとしていた時、いきなり扉が開いた。


 「後輩くん! なんで昨日彩菜が来ていた事教えてくれなかったんだい! お姉ちゃん寂しかったよー!」


 しくしくと嘘泣きをしている綺羅星先輩。

 

「別に教える必要ないじゃないですか。それより綺羅星先輩はお姉ちゃんじゃないですから。なにさらっと嘘言ってるんですか」 


 「私は後輩くんのお姉ちゃんっていう設定なんだよ!」


 「いつからそういうことになってたんですか」


 「さっきだよ?」


 「さっきかよ! それで先輩は何しにきたんですか?」


 呆れながら俺は綺羅星先輩に聞いた。


 「うーん、なんで来たんだろ?」


 「しっかりしてくださいよ。ていうか、用事ないなら出てってください」


 「えー。ならさ、ゲームさせてよ。後輩くんも一緒にやるんだもーん!」


 「意味わかりませんから。なぜ俺までやらないといけないんですか。一人でやる分には問題なかったんですけど」


 「これ後輩くんのキャラね。それじゃレッツゴー!」


 嘘......だろ。なぜか勝手にゲーム始めちゃってるんですけど。しかも俺にコントロール渡してきてるし。はぁ、やるしかないのか。さようなら俺の休日。


 「後輩くん。そんな悲しい顔してちゃ不幸なこと起きるよ!」


 「誰のせいでこうなってるんだよ!」


 はぁ、ぞっと疲れた。最近、全然自分の時間がない気がするんだが。そんなことを思っている俺であったが以外と楽しんでいた。


 「綺羅星先輩はなんでそんなに強いんですか?」


 「んー、なんでかな?」


 「なんかコツとかあるんですか?」


 「勘かな。なんかこう、わかるんだよね。相手の攻撃パターン? ていうやつがさ」


 ちょっとコツでも聞いてみようと思ったバカだった。この先輩がちゃんとした事言うはずがないってわかってたんだがな。


 三時間くらいたっただろうか。そろそろお腹が減ってきたんだが。


 「綺羅星先輩、そろそろやめてご飯でも食べませんか? もう昼時ですし」 


 「それもそうだね。よく気がついたね」


 「まぁ、はい」


 そりゃ、気づくに決まってるだろ。何度も時計を見ていたんだからな。


 「それじゃ、ご飯を食べにいくぞー! おー!」


 自分で言って自分で返事していた。やはり不思議な人だなと思う。まあいい、やっとこれでゲームから解放される。ひと安心だ。


 「そういえば、昨日どうだったんだい?」


 「まぁ、色々ありましたが楽しかったですよ」


 「色々ってないかな?」


 キラーンと効果音でもでるかのような目でみてきたため、少したじろぐ。


 「それはですね、彩菜がいなくなったんですよ」


 「なんですとー! なら今から探してこないと」


 「いえ、大丈夫ですよ。なんとかみつかったんで」


 「それならよかったよー!」


 なぜかホッとしていた。綺羅星先輩が心配してくれるなんて意外だなと思った。 


 「今度来たら、遊ぼうねって言っといてね!」


 「はい。一応言っときますね」


 「一応って、酷いなぁ後輩くんは」


 「冗談ですよ。ちゃんと言っときますね」


 そう言って俺たちは昼飯を食べる。食べている途中、水瀬も一緒に食べることになった。


 「そういや、咲久野はいいのか? あいつ泣き出すんじゃないのか?」


 「それなら大丈夫だよ。まだ寝てるんだよね」


 「そうだったのか。ならいいか。それで最近咲久野とはどんな感じなんだ?」


 「今まで通りだよ!でも、最近はお風呂に入るとき一人で入れるようになったんだよ!」


 「そうなのか! よかったじゃん。まぁ、なんだ。咲久野の事しっかり面倒見てくれよ?」


 「わかってるよ! それより、咲久野の心配してるなんて、優しいね」


 「ばっか、そんなんじゃねーよ」


 俺は恥ずかしさのあまり、顔が赤くなってしまっていた。


 「そうそう、昨日妹さん来てたみたいだけど、楽しかった?」


 「おう! まぁ、色々あったんだけどな」


 「今度妹さんがきたら、遊ぼうねって言っておいてね!」


 「まかせろ。彩菜も水瀬と遊びたいって言ってたしな」


 「楽しみに待ってるよ!」


 「おう!」


 「おーい。二人でいちゃついてるのはいいけど、私がいること忘れてもらっちゃ困るよ」


 「いちゃついてなんかいませんよ。いつも通りですよ。なぁ?」


 「うん! いつもこんな感じだよね?」


 「もういいよ。私、ご飯食べたからもう行くからね」


 「は、はぁ」


 そう言って綺羅星先輩は出ていく。


 「なぁ、俺たち悪いことしたか?」


 「普通にお喋りしてただけだよね?」


 「だよな。まあいっか、早く飯食べちゃうぞ」


 「うん、そうだね!」


 そのあとは、坦々とご飯を食べる俺と水瀬だった。

 食べていてふと、綺羅星先輩との会話と、水瀬との会話を思い出した。思い出した時、彩菜は寮生から愛されてることがわかり、兄としてとても嬉しかった。

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